米中対立2026(3)専門家たちがそれぞれのテーマでトランプ政治と世界の現状に迫る「アメリカの戦争」と世界危機 三牧聖子編
「アメリカの戦争」と世界危機 三牧聖子編
いまさらいうまでもないトランプの強権と暴言、そして暴走。特にイスラエルにそそのかされてイランを攻めるとはアメリカの保守派でさえ顔をしかめる。おまけにスイスで停戦交渉にあたるのは外交オンチの副大統領バンスやトランプの娘婿クシュナーだ。本書は日本、アメリカ、中東、中国、エネルギー問題、国際法、宗教などの専門家がそれぞれのテーマでトランプ政治と世界の現状に迫る。
「イランは宗教国家か」を論じた章では、ハメネイ師の殺害で最高指導者に就任したモジタバ師について、「大アーヤットーラー」と報じられたことを取り上げ、イスラム法学者の最高位を示す称号が50代半ばの人物に与えられることなどあり得ないと指摘し、宗教的権威と共和体制の間にゆらぎが生まれているという。
また北半球中心の「グローバルノース」の支配に対抗する「グローバルサウス」の章では、ウクライナ、パレスチナ、ベネズエラ、イランと米国がやりたい放題する地域の問題に対してグローバルサウスが国際法や国連の場で巧みに抵抗するさまを、「迂回」「剣化」「盾化」「分離」と分析する。「アラカルト的多国間主義」は日本にとっても大いに参考とすべきものだろう。 (岩波書店 1056円)


















