(3)野球の投手は“かみしめる”と力を発揮できない
前回、咬合力(かむ力)と運動能力の関係について述べましたが、スポーツ選手は一般の人よりむし歯が少なく、かむ力が強いといわれています。特に、集中力と体の安定が重要なライフル競技やボート競技の選手のかむ力は一般の人の3倍もあるそうです(「スポーツ選手と同年代の人の虫歯数」「男子スポーツ選手の総咬合力」調査「8020推進財団」)。
スポーツ歯科学のパイオニアとして知られる安井利一・日本スポーツ歯科医学会理事長の研究では、トップアスリートはかみ合わせの安定が筋力の発揮、関節固定、姿勢保持に寄与していることが分かりました(「スポーツ選手の口腔状態ならびに咬合状態について」安井利一「日本臨床スポーツ医学会誌11」2003年)。
「歯をしっかりかみしめると、筋力が4~6%程度アップします。かむ力が弱くなると、持っている力を十分出し切れないことになります。国際試合で活躍していた選手が、奥歯を失い咬合力が低下して成績不振になり一線から退いた例も複数あります」(安井理事長)
また、安井理事長は強くかみしめることで大きな力を発揮する競技とそうでない競技があると言います。


















