関係者182人へのインタビューで浮かび上がる極めて多面的なボウイ像 「デヴィッド・ボウイ、その人生」ディラン・ジョーンズ著、菅野楽章監訳、安達眞弓訳
「デヴィッド・ボウイ、その人生」ディラン・ジョーンズ著、菅野楽章監訳、安達眞弓訳
1970年代の初頭だったろうか、初めてテレビでデヴィッド・ボウイを見たときの衝撃を覚えている。顔に化粧を施しユニセックスの奇抜な衣装で歌うその姿は、それまで聴いていた60年代ロックとは明らかに一線を画すものだった。以降、ボウイは音楽だけでなく、映画などさまざまなカルチャーアイコンとして君臨し、2016年、69年の生涯を終えた。死後、ボウイに関する本はいくつも出ているが、本書はボウイの一生を関係者182人のインタビューから描き上げたオーラル・バイオグラフィーという形式をとり、極めて多面的なボウイ像を浮き彫りにしている。
登場するのは、ブライアン・イーノ、レディー・ガガ、ニーナ・シモン、エルトン・ジョン、ボノ、ポール・マッカートニー、マドンナ、ブライアン・メイ、ルー・リード、ジョン・レノンといったミュージシャンのほか、ボウイの幼友達、元恋人、元妻や音楽・映画関係者、そしてボウイ自身。A5判2段組み約560ページという大部の本書には、それらの人物による興味深いエピソードがふんだんに盛り込まれている。
例えば、ボウイがジョン・レノンに会ったのは、エリザベス・テイラーの紹介によるものだった、85年のライブエイドでは、ミック・ジャガーとボブ・ゲルドフとボウイの3人が、ボブ・マーリーの「ワン・ラヴ」を歌う予定で練習もしていたが実現しなかった、映画「戦場のメリークリスマス」のボウイの役は、当初ロバート・レッドフォードが予定されていた……。
ロンドンの下町に生まれ、エルビス・プレスリーに憧れてミュージシャンを目指した少年が、己の才覚と運によってその頂点に上り詰めるサクセスストーリーとして読むこともできるが、それ以上に、ボウイ自身が耽溺したセックスやドラッグを巡る60年代、70年代のカウンターカルチャーの証言としても貴重な記録となっている。 〈狸〉
(亜紀書房 5500円)



















