著者のコラム一覧
佐高信評論家

1945年山形県酒田市生まれ。「官房長官 菅義偉の陰謀」、「池田大作と宮本顕治 『創共協定』誕生の舞台裏」など著書多数。有料メルマガ「佐高信の筆刀両断」を配信中。

奈良岡朋子は年を重ねても艶を失くさなかった稀有な俳優だった

公開日: 更新日:

奈良岡朋子(2023年3月23日没、享年93)

 従弟の結婚式から半世紀経ったいまでも、奈良岡のスピーチの語り出しが忘れらない。

「役者は脚本がなければセリフが言えないんですが・・・・」

 その後をどう続けたのかはまったく記憶に ないのだが、洒落たことを言うもんだなと20代の私はいたく感心したのである。

 しかし、80歳近くなると、彼女はいつもスピーチをそう始めていたのかもしれないな、などとも思ってしまう。

 なぜ、従弟の結婚式に彼女が出ていたかというと、作曲兼編曲家の若草恵こと斉藤徹の相手が『奇跡の人』のヘレン・ケラー役だっだからである。私の母の妹が従弟の徹の母親という関係で、私は披露宴の末席に列なっていた。

『奇跡の人』では彼女は三重苦のヘレン・ ケラーと壮絶な格闘を演じ、生傷が耐えなかったらしい。苛立って暴れる少女ヘレン・ケラーに負けずに生きる力をを与えようとする家庭教師役が奈良岡の役だった。演劇はある意味で格闘技なのだ。

 昭和4年まれで、洋画家だった父親の影響で女子美の洋画科に進んだが、舞台美術に興味を持ち、民芸に入った。宇野重吉や滝沢修のいた劇団である。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    中学受験で慶応普通部に進んだ石坂浩二も圧倒された「幼稚舎」組の生意気さ 大学時代に石井ふく子の目にとまる

  2. 2

    横浜とのFA交渉で引っ掛かった森祇晶監督の冷淡 落合博満さんは非通知着信で「探り」を入れてきた

  3. 3

    出家否定も 新木優子「幸福の科学」カミングアウトの波紋

  4. 4

    国宝級イケメンの松村北斗は転校した堀越高校から亜細亜大に進学 仕事と学業の両立をしっかり

  5. 5

    放送100年特集ドラマ「火星の女王」(NHK)はNetflixの向こうを貼るとんでもないSFドラマ

  1. 6

    日本人選手で初めてサングラスとリストバンドを着用した、陰のファッションリーダー

  2. 7

    【京都府立鴨沂高校】という沢田研二の出身校の歩き方

  3. 8

    「核兵器保有すべき」放言の高市首相側近は何者なのか? 官房長官は火消しに躍起も辞任は不可避

  4. 9

    複雑なコードとリズムを世に広めた編曲 松任谷正隆の偉業

  5. 10

    中日からFA宣言した交渉の一部始終 2001年オフは「残留」と「移籍」で揺れる毎日を過ごした