大川隆法は幸福実現党をつくる前、三塚博や小池百合子や丸川珠代を応援していた
大川隆法(2023年3月2日没 享年66)
大川が師と仰いだ渡部昇一が亡くなった時、郷里の『荘内日報』に「大川の先生が渡部」と書いて批判したら、渡部ファンからブーイングが来た。残念ながら私は渡部と同郷なのだが、大川は渡部との対談で「渡部先生のご著書の影響が『幸福の科学』の知的探究態度の出発点みたいなところがあるんです」と言っている。渡部ば”オトコ櫻井よしこ”のようなウルトラタカ派だが、「幸福の科学」はかつての創価学会の如く批判に対して過剰反応する。私が2012年4月29日号の『サンデー毎日』のコラムで、「霊言」と称して、さまざまな人間の言ったことを大川著として出すのはおかしいと指摘したら、編集部にしつこく抗議してきて、結局、「幸福の科学グループ専務理事」という肩書の里村英一と対談することになった。
里村はTBSに勤めていたらしいが、最後のヤリトリが傑作で、里村が、
「実はきょう、幸福の科学の入会申込書も持ってきました。佐高さん、口が悪くて後生危ないから、この入会申込書にサインをお願いします」
と言うので、私は、
「総裁にするなら考えてみますよ(笑)」
と皮肉った。すると、
「その発言が非常に堕地獄的。佐高さん、これがファイナル・ジャッジメント(最後の審判)ですよ」
と真顔になって怒る。冗談が通じないのである。そんな彼らに強烈な打撃となったのが、隆法の長男・宏洋が書いた『幸福の科学との訣別』(文藝春秋)だった。それによれば、お布施だけで1年に300億円も集まるおカネは「世界に1つしかないんだ」と隆法が自慢したウン千万円の腕時計や、女性幹部の高い給料とアクセサリーに化けた。信者は公称1100万人などと言っているが、熱心な信者は選挙の際の得票数で明らかだろう。
東大法学部卒の隆法は総理大臣になりたくて国政選挙に候補者を立てた。幸福実現党をつくる前は、自民党の三塚博や小池百合子、そして丸川珠代などを応援した。
隆法の主張は「憲法9条の改正や核保有を政策に掲げるなど、相当な右寄り」で、原発についても推進派だが、以前は「原発は地球を滅ぼす」と、むしろ左寄りのことを言っていた。また、離婚した前夫人のきょう子とも、本当は別れたくなかった、と宏洋にバラされている。
最後に大川の『ノストラダムス戦慄の啓示』の一節を引こう。
「21世紀、リヴァイアサン(日本)は無敵となるであろう。年老いた鷲(アメリカ)の喉を喰いちぎり、また力尽きた赤き熊(ソ連=現ロシア)を打ち倒し、老いたるヨーロッパを嘲笑い、中国を奴隷とし、朝鮮を端女(はしため)とするであろう」
何と傲慢で恥知らずな予言であることか。(文中敬称略)