「雨かんむり漢字読本」円満字二郎著
キリンビールが2017年春に売りだした「零ICHI」。日本語のネーティブスピーカーなら誰でも「ゼロイチ」と読む。「零下」「零点」などは「レイ」と読むが、「零」一字だけなら普通、「ゼロ」と読む。
ところが、「広辞苑」「大辞林」などで「ゼロ」を引くと、見出しに「零」と書き表されていない。初めて作られた国語辞典は1889年に大槻文彦が作った「言海」だが、「ゼロ」という項目はない。「れい(零)」という項目はあって、「零」を「おちる」と訓読みしている。308を「三百零八」と書き表した例があり、十の位が「落ちている」と捉えた表記だと説明されている。
雨かんむりの漢字だけで一冊書いてしまったマニアックな本。 (草思社 1400円+税)