「〈花〉の構造」石川九楊著

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 万葉集から現代の流行歌まで、日本人は〈花〉に託して、四季の移ろいや男女の愛を歌ってきた。本書は、日本語の歴史とともに歩んできた〈花〉の本質と広がりを考察する日本文化論。

 多くの人が雑草がつける小さな〈花〉には目を向けないように、〈花〉を楽しむとは、文化的な現象だと著者は説く。また、なぜ〈花〉が女性を連想させ、女性の服や内装品に〈花〉柄が多いのか。それは〈花〉が植物の生殖器官だからだと、古今和歌集などの和歌を取り上げながら、〈花〉と性愛や恋愛の関係を考察。

 中国から輸入され、漢字語からひらがな語へと転換することによって独自の文化へと昇華し、男女の交わりの象徴となった〈花〉(はな・ハナ)で日本を読み解く。(ミネルヴァ書房 2000円+税)


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