「睦月童」西條奈加著
元旦、日本橋新川に店を構える下り酒問屋・国見屋の主人・平右衛門は、使用人を集め、少女を紹介する。イオという名の娘に見つめられた手代の昇吉が震え上がる。平右衛門がただすと、昇吉は数カ月前から賭け事にはまり、店の金に手を付けていたことを白状する。イオは平右衛門の母方の故郷・陸奥盛岡に伝わる睦月神の化身である座敷童だった。イオには人の罪を映す鏡の力があり、大きな罪を犯した者にはその目が金色に見えるのだ。
人づてに息子の央介が盗人の風神一味の可能性があると聞いた平右衛門は、噂の真偽を確かめるためにイオを屋敷に招いたのだ。案の定、イオと対面した央介は、化け物が出たと騒ぎだす。
心を入れ替えた央介がイオと組んで江戸で起きる事件を解決に導いていく時代ファンタジー。
(PHP研究所 700円+税)