「中国 古鎮をめぐり、老街をあるく」多田麻美著
古鎮(グーゼン)とは歴史ある街並みを残す地方都市や村落のこと。老街(ラオジエ)は街に古くからある通りを言う。
黄土高原が広がる山西省の黄河沿いの町「磧口(チーコウ)」には、窯洞(ヤオドン)と呼ばれる洞穴式住居が今も多数残っている。アーチ形の窓や入り口がシンボルで、65度前後に切り立った斜面に窯洞が並ぶ様子は、霧が立つと宙に浮いた城のように見えるという。
他にも、かつて通商の道として栄えた時代の名残を感じる街・北京の模式口(モーシーコウ)、上からは円形に見える伝統建築の巨大マンション「円楼」が残る福建省永定県初渓村など、国を挙げて大開発が続く中国で消えつつある、数百年単位で続いてきた街並みや人々の暮らしをめぐる紀行エッセー。
(亜紀書房 1900円+税)