抑圧と抵抗の中国

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「銃弾とアヘン」廖亦武(リャオ・イーウー)著

混迷する香港情勢の背景は中国の強権政治だ。



 香港情勢と並んで習近平体制下の中国で黙殺されるのが30年前のあの事件。著者は天安門事件の夜、長詩「大屠殺」を発表。当局からの度重なる弾圧、投獄、暴行に屈せず、ひそかに中越国境を越えてドイツへ亡命。ノーベル文学賞候補にも推されてきた。

 本書は事件当時、抵抗運動に加わった人々を探し出し、彼らとの対話記録と著者のエッセーを収録。

 あの事件の関係者は中国では日付をとって「六四暴徒」と、まるで暴行犯のように呼ばれる。弾圧だけでなく、その後の投獄や強制労働の悲惨な経験をも語る彼ら。政治的信念というより、学生たちへの不当な弾圧に対する義憤から抵抗運動に入り、最後までぶれなかった人物もいる。

 しかし、こもごもに語る疲れた口調からは中国の暗い未来への絶望感がうかがわれる。

(白水社 3600円+税)

「幸福な監視国家・中国」梶谷懐、高口康太著

 5Gからキャッシュレスまで急激にIT化する中国は、いま監視カメラ大国になりつつある。行方不明の子どもがすぐに見つかった、万引から信号無視まで犯罪が激減しているなど利点も多いが、香港のデモではマスクで顔を隠すのが禁止されるなど、生体認証を使えば言論弾圧はいとも容易だろうと危惧される。

 本書は中国事情に詳しい経済学者とジャーナリストの共著。表面的な予断や偏見を排しながらも、近代ヨーロッパの「公共性」概念がそのまま通用しない中国では、党の権力が強くなるのも仕方ないと人々が考えているともいう。書名の「幸福」はあくまで功利主義的な意味合いというわけだ。

(NHK出版 850円+税)

「中国が世界を動かした『1968』 楊海英(ヨウ カイエイ)編

 香港情勢の報道を見ながら「騒乱罪」適用された1968年10月21日の新宿を思い出した、という団塊世代は多いはず。本書は同時期に進行中だった中国の文化大革命を深く掘り下げながら、それが西ドイツやアメリカなどにどんな影響を与えたかを6人の識者が考察する。

 編者は1964年生まれ。静岡大学人文社会科学部教授で、出身地はかつて満州国の一部になっていた南モンゴル。戦後、中国から弾圧を受け、文革中には大規模なモンゴル人ジェノサイドまで行われたという。そんな歴史の暗部に光を当てた論考。

(藤原書店 3000円+税)

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