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大高宏雄映画ジャーナリスト

1954年浜松市生まれ。明治大学文学部仏文科卒業後、(株)文化通信社に入社。同社特別編集委員、映画ジャーナリストとして、現在に至る。1992年からは独立系を中心とした邦画を賞揚する日プロ大賞(日本映画プロフェッショナル大賞)を発足し、主宰する。著書は「昭和の女優 官能・エロ映画の時代」(鹿砦社)など。

異例の1000日連続上映 映画「この世界の片隅に」が持つ力

公開日: 更新日:

 太平洋戦争下の広島・呉を舞台にした大ヒットアニメーション「この世界の片隅に」を覚えている人も多いだろう。さきにNHKの総合テレビで放映されたばかりだが、この作品が公開から2年半以上が経つのに、いまだに映画館で上映が続いているというのだ。

 本作は、2016年の11月12日から公開された。その日から数えて、この8月8日に1000日を迎えたが、その間、一度も映画館での上映が途切れなかったのである。あるベテランの興行関係者によれば、「このような長期間の上映は、国内の興行史上初めてではないか」と言う。

 この前代未聞の上映を支えた映画館がある。茨城県の土浦セントラルシネマズだ。17年2月18日から延々と上映を続けている。現在の上映は午前10時からの1回となったが、この映画館の頑張りがあったからこそ、公開初日からの上映が続行されてきたというわけだ。

 決断をしたのは、同館の寺内龍地(りゅうじ)社長。社長によると「作品が素晴らしかった」ことに加え、「土浦やこの近くにはかつて海軍の航空隊があり、呉と似た地域」だったことも理由として挙げる。さらに「次第に(上映が)SNSなどで話題になり、当館がこの作品の『聖地』のようになっていった」。

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