(3)落語家でなく昆虫学者になりたかった「セミの鳴き声の方が家の中よりうるさくない」

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 確かに志ん朝は高座姿がきれいな、「かっこいい落語家」だった。

「すぐに情報誌の<ぴあ>を買って、最後に付け足しのように掲載されてる演芸のページで矢来町の会を探したら、ありました。千石にあった三百人劇場での独演会。当日、劇場に行くと、当日券が僕の何人か前で売り切れちゃった。

 せめて会うだけでもと、楽屋口で待っていたら、師匠の楽屋入りに付いていたお弟子さんが、『三平師匠の坊ちゃん?』と声をかけてくれた。『はい』と答えると、志ん朝師匠も気付いて、『何してんの?』と。『聴きに来たんですがチケットが完売で』と言ったら、『じゃあ、こっちにいらっしゃい』と中に入れてくれて、客席に補助椅子を用意させたんです」 (つづく)

(聞き手・吉川潮

▽林家正蔵(はやしや・しょうぞう)1962年、東京生まれ。本名・海老名泰孝。78年に父である先代の林家三平に入門。前座名は「こぶ平」。80年、三平没後、林家こん平門下へ。81年、二つ目昇進、87年、真打ち昇進。2005年に9代目「林家正蔵」を襲名。10年、落語協会常任理事に就任。14年、落語協会副会長に就任。

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