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増田俊也小説家

1965年、愛知県生まれ。小説家。北海道大学中退。中日新聞社時代の2006年「シャトゥーン ヒグマの森」でこのミステリーがすごい!大賞優秀賞を受賞してデビュー。12年「木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか」で大宅壮一賞と新潮ドキュメント賞をダブル受賞。3月に上梓した「警察官の心臓」(講談社)が発売中。現在、拓殖大学客員教授。

萩本欽一〈35〉妻が大事故を起こして車はぐちゃぐちゃ…それでも事なきを得た秘訣

公開日: 更新日:

 作家・増田俊也氏による連載、各界レジェンドの生涯を聞きながら一代記を紡ぐ口述クロニクル。待望の第2弾は、「視聴率100%男」として昭和のテレビ界を席巻したコメディアンの萩本欽一氏です。

  ◇  ◇  ◇

増田「良い運が重なりすぎると悪い運が巡ってくると」

萩本「そうなのよ。だから俺ね、自分の番組が視聴率30%行ったときに、奥さんに『とにかく動物飼え』って。何にも知らないから『何で?』って言うからね、30%行ったから、家族に絶対病人が出るから、動物飼えって言ったの」

増田「なるほど、そうしたら」

萩本「そしたらね、子供が犬と猫を買ってきたの。『これいくらするんだ?』って『チンチラっていって7万円かな』って言うから俺、張り倒したくなっちゃった。おまえが運使ってくんじゃねえよこの野郎って。それで子供にね『かわいそうな猫がいたら連れて来い』っつって。で、かわいそうな猫がいたわけ。踏まれちゃったかなんかで腰がちょっと曲がってる猫がいたの。だからそれだ。みんなでこの子をね、可愛がるんだよってさ、あの子がみんな家族の病気をなくした、助けてくれた。だから俺、家建てないじゃない」

増田「今まで一度も建てなかったんですか?」

萩本「建ててないですよ。買ったことはあるけど建ててない」

増田「その決心というか軸はすごいですね」

萩本「いまいるここの会社の建物も建てたものじゃない、買ったんです。ここのおっさん助けるために。バブルでここの親父さんがね、倒産しちゃったの。そんなもんだから助けるっていうんで、たまたま買ったんです」

増田「ご自宅を建てないっていうのは、何かそういう運とかそういうのを」

萩本「ダメでしょう。いい家建てると子供がまずダメになるんじゃないかって。子供がそういう錯覚するから。だからさ、引っ越して、子供たちが障子紙ビシビシ破いてるのを見て、俺、ラッキーと思ってました。うちにお客さんが来るとね、大将の家にしてはひでえなって言ってるけど、それでいいんです。そもそも築20年の家ですからね」

増田「築20年を買ったんですか」

萩本「はい。しかもね、隣がお寺っつんで。みんな買わないところですよね。ええ、それこそ日本一の人気者の萩本さんの家が、そんなお寺の横の築20年だったという」

増田「それで運が逃げない」

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