デジタルの未来(1)「摩擦のない経済圏」はどこへ…「デジタルインフラの地政学」白畑真著

公開日: 更新日:

 デジタルの未来は混沌として先行き不透明。類書も続々だ。

  ◇  ◇  ◇

「デジタルインフラの地政学」白畑真著

 いまから四半世紀前の西暦2000年、世界はインターネットの未来に熱狂していた。シスコシステムズ、ルーセント・テクノロジーズ、ノーテルネットワークスなどのインフラの巨大企業が君臨し、地理的な国境が無意味になり、国家の制約から解き放たれた摩擦のない経済圏が登場すると皆が考えた。

 そんなドットコム・バブルから年月を経て、ルーセントはノキアの傘下、ノーテルは経営破綻した。代わってアップル、マイクロソフト、アマゾン、メタなどデータを支配するプラットフォーマーが世界を支配し、「摩擦のない経済圏」どころか、少数の巨大企業が「見えない大陸」を耕す「デジタル小作人」から通行料を取り立てる支配と搾取の空間に変わった。

 さらにコロナ禍が追い打ちをかける。引きこもった人々がネットに押し寄せた結果、通信トラフィックの削減を名目にEUがネットフリックスやユーチューブに欧州で画質を下げる要請をする。ネットはいまや自由な遊び場ではなく、誰もがそこで暮らすほかない場となったのだ。

 しかしこの社会基盤の安定は誰が保証しているのか? 海底ケーブルのルートを決めるのは誰か? つまるところネットは誰がコントロールしているのか?

 本書はネットの「物理的なインフラと論理的な制御」をめぐる最新報告。著者はシンガポールに駐在し、アジアのデジタルインフラ事業に関わる専門家。

 (日経BP 3190円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    NHK出演にSNSでは抗議の声も…彬子女王と伊藤穰一氏をつなぐ「裏千家」とブータン王室の深い関係

  2. 2

    女優・烏丸せつこさんは郷里の滋賀に引っ越し、2歳下のダンナさんとラブラブ生活

  3. 3

    巨人・橋上監督代行に課された“最終任務” 「岡本和真の後釜候補」に道筋を立てられるか

  4. 4

    日テレ「ウルトラクイズ」復活で思い出す…氏家齊一郎社長の「赤字番組など必要ない」

  5. 5

    中間淳太が生謝罪も…WEST.脱退問題のウラに重岡大毅のアツすぎるバンドスタイルと“音楽性の違い”

  1. 6

    バナナマン日村が簡単に復帰できそうにない「もう1つの理由」…レギュラー11本抱える人気者のジレンマ

  2. 7

    水前寺清子(1)作詞家・星野哲郎への恩と愛称「チータ」誕生の理由

  3. 8

    俳優・山本學さん89歳「たかだか役者なんですから」の気持ちでやってます

  4. 9

    今も歩くのに苦戦…元プロレスラー武藤敬司さん人工関節手術を語る

  5. 10

    婚活で早く結婚できる人、できない人の決定的な差…「電柱女子」「電柱男子」は成婚から遠ざかる