著者のコラム一覧
青島周一勤務薬剤師/「薬剤師のジャーナルクラブ」共同主宰

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

高断熱住宅に転居すると血圧が低下する? 日本血圧学会の学会誌で報告

公開日: 更新日:

 血圧は、気温が下がると上昇する傾向にあります。そのため、冬季には血圧が上昇しやすいだけでなく、心臓病の発症リスクも増加することが知られています。その意味では、生活環境における寒暖差を少なくすることで、血圧の変動が抑えられ、心臓病のリスクも低下すると考えられます。

 近年では、建築物の断熱性能が飛躍的に向上しており、室内環境における寒暖差は少ない傾向にあります。そのような中、断熱性能や換気性に優れた住宅に居住することと、血圧の変化の関連性を検討した研究論文が、日本高血圧学会の学会誌に2026年5月13日付で掲載されました。

 日本で行われたこの研究では、標準的な住宅環境から、断熱性と換気性に優れた新築の集合住宅に入居した185人が分析対象となりました。なお、研究参加者の平均年齢は42.5歳で、9%の人が血圧の薬を服用していました。

 研究参加者の血圧(単位は㎜Hg)は、転居する前の2月と、転居から1年後の2月に測定され、転居の前後で血圧の変化が比較されています。その結果、転居の前における朝の血圧(収縮期血圧)は113.9、転居後における血圧114.4と、ほぼ同等でした。ただし、血圧の薬を飲んでいた人に限定して血圧の変化を解析したところ、転居前の130.3から転居後の122.9へと、7㎜Hgほど統計学的にも有意に低下していました。同様の傾向は、高血圧を有する人や、60歳以上の高齢者においても確認され、4~6㎜Hgの血圧低下が示されています。

 論文著者らは「特に高血圧のリスクのある人では、断熱性や換気性に優れた住宅環境が、冬場における血圧の管理に効果的かもしれない」と考察しています。

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