【ジェニー・ペンはご機嫌ななめ】たった1人の狂った老人がケアハウスを恐怖支配

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マジョリティーがマイノリティーに従属。これが人間の弱さ

 こうしたことはなにもケアハウスだけのことではない。我々の社会生活も同じ。地域や職場にわずかなならず者が混入することで平穏が侵される。

 暴対法が施行される前の日本では数人のヤクザ組織が進出することで大勢の住民が恐怖を覚える状況を生んでいた。人々はヤクザに反感を覚えながらも、怖くて彼らに逆らえない。中には我が身かわいさのあまり、ヤクザに取り入ろうとする者も現れる。マジョリティーがマイノリティーに従属。これが人間の弱さである。そう考えると、本作のケアハウスは人間社会の縮図だ。

 メガホンを取ったジェームズ・アッシュクロフト監督はこう語っている。

「最も予想外の場所で横行する専制について描いています。専制者は好都合な環境を与えられれば雑草のように急速に成長し、その行動は往々にして密室で、閉ざされた扉の向こうで、詮索の目を逃れた隅で起こります。その意図は陰険です」

 ジョン・リスゴーの演技はさすがに秀逸。指人形のジェニー・ペンを操り、デイブのいびつな権力欲を表現した。役柄の狂気が乗り移ったかのようだ。リスゴーは今年10月で81歳。長年磨いてきた演技力を本作で存分に発揮した。(文=森田健司)

(配給=エデン)

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