さまざまな無住化した集落──多種多様の廃村の姿を伝える 「廃村大全」浅原昭生著、中田薫編
「廃村大全」浅原昭生著、中田薫編
人口減少社会に突入した日本では、2019(令和元)年からの5年間で296もの集落が無人化(無住化)したという。
無住化した集落=廃村と聞くと、人の気配がない荒れ果てた光景が思い浮かぶが、それは廃村の一面に過ぎず、「元住民たちが通いで家屋や田畑の維持管理をしている」廃村もあれば、「神社や記念碑などが往時の面影を伝える」廃村もある。中には「キャンプ場など野外活動施設となった」廃村や「痕跡を探すのが難しい」廃村といろいろだ。
そんな廃村の調査をライフワークとする著者によるビジュアルガイド。
これまで訪ねた1000カ所近くの廃村の中から、学校の校舎が今も残る60集落を取り上げ、多種多様な廃村の姿を伝える。
廃校がある廃村に着目するのは、その規模や開閉校年などを調べることで集落の規模や縮小の様子などを客観的に調べることができるからだ。
北海道の新富三井集落は、JR女満別駅から町道を23キロ、さらにけもの道と化した林道を3キロ歩いてようやくたどりつく。昭和26年に開校し、34年には児童数22人を数えた新富小学校は40年、集落の無住化とともに閉校。学校の建物は、再利用のため移築され、現地には教員住宅だけが残る。
一方、青森県三沢市の天ケ森は、防衛施設の騒音対策のため住民らの意思で集団移転して廃村になったまれなケースだ。
ほかにもダム建設によって昭和62年に消滅した、岐阜県揖斐川町の徳山本郷の徳山小学校がダム完成で水没するまでの20年間の変遷を追うなど、60集落を取り上げる。さらに1000廃村をデータベース化して収録。
かつての住人たちの声が聞こえてきそうな本書を手にしながら、少子高齢化が加速する日本の未来にふと思いをはせる。 (大洋図書 2530円)



















