体にも優しい 食道アカラシア新治療「POEM」のメリット
食べ物が食道につかえて通らない「食道アカラシア」の新治療法が保険適用になった。効果が高く、体の負担が少なく、治療費も安い。
食道アカラシアは、脳から食道への神経伝達路になんらかの障害が起こり、食べ物を食道から胃へ送り込めなくなる疾患だ。
原因の特定は難しく、発症すると自然には治らない。食べられないだけでなく、嘔吐、胸痛、背中の痛みなどの症状があり、生活の質は著しく低下する。食道がんが合併するとの報告もあるという。
従来の治療法は「投薬」、風船で食道を膨らませる「バルーン拡張術」、そして食べ物の通りを邪魔している食道と胃の境目の筋層を切除する「外科手術」から選択していた。しかし、薬やバルーン拡張術は十分な効果が得られず、最終的に手術を行ったものの「しないよりはまし」といった結果になる患者や、体の負担を考えて躊躇する患者が少なくなかった。
昭和大学江東豊洲病院消化器センター長の井上晴洋医師が、世界初の方法で食道アカラシアの治療を行うようになったのは2008年。