体にも優しい 食道アカラシア新治療「POEM」のメリット

公開日: 更新日:

 しかし、従来の外科手術では切ることができる長さは5~7センチ。POEMでは25センチの切開も可能で、長く切っても患者の負担が増えるわけではない。

「本来は25センチの切除が必要な場合も、従来法しかない時は最大7センチまでしか切れませんでした」

 すると、前述の「しないよりはまし」といった結果になりかねない。医師は患者の不満足を理解しながらも、それ以上は打つ手がなく、「治療はここまでになります」と言うしかなかった。

 今回の新治療法で、その「壁」を乗り越えられたのだから、その意義は大きい。海外でも高い評価を受けていて、外科の学会誌の中で最高ランクの「アメリカン カレッジ オブ サージャン」に昨年掲載されたという。

「加えて保険点数は従来法より低く、患者さんが負担する治療費は安い。私はPOEMによって『食道アカラシア外科治療の100年の歴史は終わった』と考えています」

 全身麻酔で行うので、4日ほど入院するが、術後2日目から食事もできる。昭和大では約1200例が実施されていて、国内外で4000例超が行われている。「過去に食道アカラシアの手術を受けたが、あまりうまくいかなかった」という患者でも、POEMの実施は可能だ。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…

  2. 2

    ドジャース大谷翔平32歳「今がピーク説」の不穏…来季以降は一気に下降線をたどる可能性も

  3. 3

    「おまえもついて来い」星野監督は左手首骨折の俺を日本シリーズに同行させてくれた

  4. 4

    ドジャース佐々木朗希の心の瑕疵…大谷翔平が警鐘「安全に、安全にいってたら伸びるものも伸びない」

  5. 5

    巨人大ピンチ! 有原航平争奪戦は苦戦必至で投手補強「全敗」危機

  1. 6

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  2. 7

    衝撃の新事実!「公文書に佐川氏のメールはない」と財務省が赤木雅子さんに説明

  3. 8

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  4. 9

    高市首相が漫画セリフ引用し《いいから黙って全部俺に投資しろ!》 金融会合での“進撃のサナエ”に海外ドン引き

  5. 10

    日本ハムはシブチン球団から完全脱却!エスコン移転でカネも勝利もフトコロに…契約更改は大盤振る舞い連発