<第5回>安倍首相の「テロは起きない」はウソである
安保法案が成立し、安倍政権が自由に自衛隊を海外派兵できるようになった場合、この国はどうなるのか、どういう問題が生じるのか、あらためて考える必要がある。
まずは、自衛隊が直接“軍隊組織”として紛争に関係するのだから、それだけで自衛隊の危険性が高まるという問題をはらんでいるのは間違いない。しかし、それ以上に最も心配なのは、日本国内でテロが起きるリスクが高まるということだ。
安倍首相はテレビ出演した際、コメンテーターの女性に「日本でテロが起きやすくなるのではないか」と質問され、「全くない」と即答した。だが、それはウソだ。今年1月の安倍首相の中東歴訪を思い出して欲しい。よりによってイスラエルで「有志国連合の一員としてIS(イスラム国)と戦う」と発言し、それがきっかけで、日本人2人が殺害されてしまったではないか。あんなひどい事態を自ら引き起こしておいて、なぜ「テロはない」と言い切れるのか。
もともとアラブ世界は、日本に対して悪い感情を持っていなかった。特にアフガニスタンなどは、常にロシアの脅威にさらされてきたから、日露戦争で日本が勝利したことなどから、単純に対日感情はよかった。アフガンで長年、井戸掘りなど農民の生活のための支援事業を行ってきたNGO「ペシャワール会」の医師・中村哲さんがこんな話をしていた。