動燃の人事担当者が連絡した転職先に竹村はいなかった
プルトニウム製造係長 竹村達也さん
私は東京で、失踪した旧動燃の核科学者、竹村達也と同い年の元同僚から「竹村と動燃の人事部の興味深い話がある」と言われた。
「民間企業の人からしたら想像がつかないでしょうが、お役所勤めの甘いところで、僕らは期末手当が年3回出てたんです。6月、12月、3月とね」
「でも竹村は3月の期末手当を受け取らずに退職してしまった。動燃の人事部は期末手当を彼に支払おうと竹村の転職先に電話した。ところが、相手の会社は『そんな人物はおりません』と言ったんだ」
「じゃあ、竹村はどこに行ったんだということになって、人事は慌てた。動燃にしたら、大学出てプルトニウムの研究をしていた人間が、技術を持ったまま姿を消したとなったら、えらいことになる」
この元同僚の記憶では、その時に人事が電話をかけた先は京セラだったという。
私は、旭化成や三菱原燃の名前も出ていると指摘した。
「いずれにせよ、人事は竹村が転職したと思われる会社に電話したけども、竹村はいなかったんだ」