「逃げ」佐藤喬著
サイクルロードレース国内最高峰の大会である全日本選手権。2014年に岩手県八幡平で行われた伝説のレースの全容を克明に描くスポーツノンフィクション。
総距離252.8キロという長丁場のレースに挑む選手は120人。優勝候補は2日前に行われたタイムトライアル(TT)で優勝した海外のプロチームに所属する別府史之選手。TTで2位につけた佐野淳哉選手は、前回大会を体調不良で途中棄権。その後うつ病と診断され、チームも移籍して復帰したばかりだった。
一方、毎年上位に食い込みながら優勝に届かない清水都貴選手は、体脂肪を3%まで落とし、万全の態勢で試合に臨む。駆け引きが交錯する複雑なレースを選手の生きざまとともに描く感動作。
(小学館 570円+税)