「彼女が大工になった理由」ニナ・マクローリン著、宮崎真紀訳
大学卒業後、ボストンの新聞社に勤めていた著者は、活気ある職場に満足していたが、やがてウェブ版の仕事に嫌気が差し、「手で触れられる何かを作りたい」と会社を辞めてしまう。そして著者はある日、ネットの求人広告「大工見習い とくに女性の応募をお待ちしています」に目を留め、応募する。
実地試験を経て、無事に採用された著者は、女大工のメアリーの下で働きだす。13歳差の師弟コンビはあるときはキッチンに備え付けの本棚を作り、あるときは裏庭のテラスを1週間かけて作るなど、あちこちの現場へ出掛けた。やがて著者は、特定の部分をひとりで担当するようになるが、一方で、ほこりまみれで仕事をするうちに自分の女性性が危機を迎えていると気づき、現場の職人たちを相手に妙な想像をするようになる――。
ジャーナリストから大工へ転身した30代女性の等身大のエッセー。
(エクスナレッジ 1700円+税)