「触れることの科学」デイヴィッド・J・リンデン著、岩坂彰訳

公開日: 更新日:

 人は、視覚や聴覚を失った世界は容易に想像することができるが、触覚を失った状態は想像しにくい。五感の中でも最も根源的な、そんな触覚の不思議を解説してくれるサイエンスエッセー。

 コーヒーのホットとアイスによって異なるなど、そのとき、たまたま手に触れていたものが、未知の人物の評価に影響を及ぼす実験例などを紹介しながら、皮膚から神経、脳に至る触感の回路が複雑で奇妙なシステムであることを解き明かしていく。 1秒間に3~10センチの速さで肌をなでられたときに強く興奮するという「なでられて心地よい」という感覚のための専用の神経線維「C触覚線維」や、オーガズムの仕組みから、痛みやかゆみまで。精巧で不思議な触覚のシステムに感嘆。

(河出書房新社 880円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    安青錦は大関昇進も“課題”クリアできず…「手で受けるだけ」の立ち合いに厳しい指摘

  2. 2

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  3. 3

    マエケン楽天入り最有力…“本命”だった巨人はフラれて万々歳? OB投手も「獲得失敗がプラスになる」

  4. 4

    中日FA柳に続きマエケンにも逃げられ…苦境の巨人にまさかの菅野智之“出戻り復帰”が浮上

  5. 5

    今田美桜に襲い掛かった「3億円トラブル」報道で“CM女王”消滅…女優業へのダメージも避けられず

  1. 6

    高市政権の“軍拡シナリオ”に綻び…トランプ大統領との電話会談で露呈した「米国の本音」

  2. 7

    エジプト考古学者・吉村作治さんは5年間の車椅子生活を経て…80歳の現在も情熱を失わず

  3. 8

    日中対立激化招いた高市外交に漂う“食傷ムード”…海外の有力メディアから懸念や皮肉が続々と

  4. 9

    安青錦の大関昇進めぐり「賛成」「反対」真っ二つ…苦手の横綱・大の里に善戦したと思いきや

  5. 10

    石破前首相も参戦で「おこめ券」批判拡大…届くのは春以降、米価下落ならありがたみゼロ