「孤独という道づれ」岸惠子著
2018年初秋、岸はテレビで「アラン・ドロン ラストメッセージ」を見た。白髪で、ちょっぴり猫背になった82歳のアラン・ドロンは「ぼくはコメディアンとアクターはまったく別だと思う」と語った。コメディアンは与えられた役を考えて演じるが、アクターは自分のように偶然がもたらしたアクシデントだと。「太陽がいっぱい」のルネ・クレマン監督は何も知らないドロンに「自分の歩き方で歩き、自分のしゃべり方でしゃべればいい」と言った。ドロンは「ぼくはあの役を演じてはいない。あの若者を生きたんだ」と。 岸は心の中でブラボォーとつぶやいた。
85歳の見えとはったりが詰まったエッセー集。
(幻冬舎 1400円+税)