著者のコラム一覧
平野悠「ロフト」創業者

1944年8月10日、東京都生まれ。71年の「烏山ロフト」を皮切りに西荻、荻窪、下北沢、新宿にロフトをオープン。95年に世界初のトークライブ「ロフトプラスワン」を創設した。6月、ピースボート世界一周航海で経験した「身も心も焦がすような恋」(平野氏)を描いた「セルロイドの海」(世界書院)を刊行。作家デビューを果たした。

あまりの音量に隣の魚屋が出刃包丁片手に怒鳴り込んできた

公開日: 更新日:

 ☆ ☆ ☆ 

 日本に新しく巻き起こったロックの潮流には驚嘆するばかりだった。しかし西荻窪ロフトの15坪の広さでは、ロック系のライブは無理だった。

 翌74年、同じJR中央線の荻窪駅近くに地下の壊れた倉庫を借り受けた。「地下だから十分に音を出せる」という判断と「迫り来るロックの時代」の先頭を走りたかった。35坪の<荻窪ロフト>(写真)の天井は低く、ジメジメと暗い空間だからこそデッドで良い音を醸し出せると思った。コンソールは大滝詠一さんが作ってくれた。

 ロフトとブッキング契約を結んだ長門芳郎さん(パイド・パイパー・ハウス店長)が無名の新人バンドの山下達郎さん率いる<シュガー・ベイブ>を、音楽制作会社「風都市」の前田祥丈さんが<はっぴいえんど>のメンバーを連れてきた。

 この荻窪ロフトは<ティン・パン・アレー系>ミュージシャンのたまり場となった。オープニングセレモニーは、歴史的にもう二度とあり得ない一大セッションが繰り広げられた。細野晴臣、大滝詠一、鈴木茂、松任谷正隆、林立夫、大村憲司、浜口茂外也、小坂忠、ジョン山崎、小原礼、今井裕、ユーミン、吉田美奈子……大貫妙子は歌う場所がなくて、カウンターの中から歌っていた。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    前田健太「ドジャース入り」で大谷との共闘に現実味 日本復帰より「節目の10年」優先か

  2. 2

    井桁弘恵ショートカットで“山之内すず化”が加速! 「そっくり問題」いよいよ待ったナシ

  3. 3

    大阪万博は開幕1カ月を待たずトラブル続出…場当たり説明でGW後半の盛り上げムードに水を差す協会の大罪

  4. 4

    巨人阿部監督はなぜ田中将大にだけ甘いのか…2試合連続炎上でさすがに二軍調整も

  5. 5

    小田和正「77歳の現役力」の凄み…現役最年長アーティストが守り続ける“プロ意識”

  1. 6

    今思えばゾッとする。僕は下調べせずPL学園に入学し、激しく後悔…寮生活は想像を絶した

  2. 7

    ダウンタウン復帰が外部資金でコンテンツ配信のナゼ…松本人志に浮上した疑惑の顛末

  3. 8

    斎藤元彦・兵庫県知事が頑迷に貫く「治外法権」…公益通報を巡る国の勧告もガン無視

  4. 9

    もしやり直せるなら、入学しない…暴力に翻弄されたPL学園野球部の事実上の廃部状態に思うこと

  5. 10

    巨人阿部監督が見切り発車で田中将大に「ローテ当確」出した本当の理由とは???