著者のコラム一覧
松尾潔音楽プロデューサー

1968年、福岡県出身。早稲田大学卒。音楽プロデューサー、作詞家、作曲家。MISIA、宇多田ヒカルのデビューにブレーンとして参加。プロデューサー、ソングライターとして、平井堅、CHEMISTRY、SMAP、JUJUらを手がける。EXILE「Ti Amo」(作詞・作曲)で第50回日本レコード大賞「大賞」を受賞。2022年12月、「帰郷」(天童よしみ)で第55回日本作詩大賞受賞。

森永卓郎さんの覚悟は古賀茂明さんのそれと相似形 胸の中で「I am MORINAGA」を掲げてみる

公開日: 更新日:

メディアのタブーに触れる覚悟

『書いてはいけない』は全4章の構成。第1章から綴られるのは、先述の3つのタブー。つまり〈ジャニーズ問題〉〈財務省のカルト教団化〉〈日本航空123便墜落事故〉について。それぞれに1章ずつを割き、ファクトと問題点の双方を平易な語り口で説明していく。第3章を読み終えた時点で、読者は3つのタブーを支える構造が相似形だという著者の指摘に大いに納得するだろう。

 そして第4章「日本経済墜落の真相」。本の副題ともなっているこの章で、著者は日本経済転落の理由を、財務省の財政緊縮政策と、日航123便墜落事故に起因する形で日本が経済政策をアメリカ任せにしたことの2つに求めている。その話運びはロジカルなのにスリリング、ゆえに怖ろしくもあった。筆の力!

 日本もう無理じゃん。多くの読者が抱くであろう諦めに対しても、森永さんは処方箋を用意している。〈あとがき〉には「ジャニーズ問題のときのようにメディアが動いてくれさえすれば、事態は変えられるのではないか」とある。ジャニーズ問題の風化に加担するような最近のメディアのへっぴり腰に呆れているぼくとしては、森永さんの意見に首肯するのはいささか躊躇してしまうのだが、財務省と日航機墜落事故への言論統制はその比ではないということもよくわかった。

 メディアのタブーに触れる覚悟。連想するのは、2015年1月、元経済産業省キャリア官僚の古賀茂明氏がコメンテーターを務めていたテレビ朝日「報道ステーション」で掲げた「I am not ABE」だ。古賀さんの覚悟と森永さんのそれはまさに相似形ではないか。ぼくもいま胸のなかでそっと「I am MORINAGA」を掲げてみる。TVカメラに向かってではないけれど。

 最後に、本のなかの〈松尾潔〉について。なんと9ページもの長さにわたって紹介されたり、コメントが引用されたりしていた。はたしてどんな文脈で出てきたか。書きだしはこうである。

「2023年6月30日に音楽プロデューサーの松尾潔氏が、15年間所属したスマイルカンパニーという事務所を突然退所した。いつも理路整然としたコメントをする松尾氏を、私は好感を持って見ていた」

 あ、褒められてるぞ。どうにも面映いが、その先に続く文章への警戒心も高まる。素直に喜んじゃっていいのか? さて──このあとは実際に本を手にとってお確かめいただきたい。

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    和久田麻由子の日テレ新番組は厳しい船出…《NHKだったから良かっただけのアナ》とガッカリの声

  2. 2

    国会前デモ「ごっこ遊び」揶揄で炎上の高市チルドレン門寛子議員 被害者ヅラで取材依頼書さらし“火に油”

  3. 3

    Adoの初“顔出し”が話題 ミステリアス歌手の限界と20年非公表の「GRe4N BOYZ」との違い

  4. 4

    TBS「テレビ×ミセス」のスマスマ化で旧ジャニ不要論が加速 “体を張るイケメン”の専売特許は過去のもの

  5. 5

    目黒蓮のGW映画もヒット確実も…新「スタート社の顔」に潜む “唯一の落とし穴”

  1. 6

    「自転車1メートル規制」で渋滞発生 道路交通法改正とどう付き合うべきか

  2. 7

    中居正広氏の公式サイト継続で飛び交う「引退撤回説」 それでも復帰は絶望的と言われる根拠

  3. 8

    嵐の大野智と相葉雅紀、二宮和也が通信制高校で学んだそれぞれの事情

  4. 9

    宮舘涼太は熱愛報道、渡辺翔太はSNS炎上、目黒蓮は不在…それでもSnow Manの勢いが落ちない3つの強み

  5. 10

    佐々木朗希に芽生えた“かなりの危機感”…意固地も緩和?マイナー落ち、トレード放出に「ヤバいです」