著者のコラム一覧
荒川隆之薬剤師

長久堂野村病院診療支援部薬剤科科長、薬剤師。1975年、奈良県生まれ。福山大学大学院卒。広島県薬剤師会常務理事、広島県病院薬剤師会理事、日本病院薬剤師会中小病院委員会副委員長などを兼務。日本病院薬剤師会感染制御認定薬剤師、日本化学療法学会抗菌化学療法認定薬剤師といった感染症対策に関する専門資格を取得。

治療しているのにコントロールできていない…高血圧の新たなリスク

公開日: 更新日:

 高血圧は「薬を飲めば安心」と思われがちですが、実際はそう単純ではありません。2025年に報告された研究では、日本の高血圧患者130万人以上を解析した結果、降圧治療を受けていても、目標とされる130/80㎜Hg未満を達成できていたのはわずか26.7%でした。つまり、約4人に3人は「治療中にもかかわらずコントロール不十分」ということになるのです。

 さらに注目すべきは地域差です。都道府県ごとに達成率には最大7%以上の差があり、医師数が多い地域ほど血圧管理が良好である傾向が見られました。また、達成率が1%向上するごとに脳卒中死亡が減少するという重要な関連も示されています。

 一方、同時期に発表された別の研究では、より厳格な血圧管理の重要性も改めて確認されています。特に高齢者であっても、収縮期血圧130㎜Hg未満を目指すことで、心血管イベントや死亡リスクの低下が期待できるとされています。

 ここから分かるのは、「治療している」ことと「目標を達成できている」ことはまったく別であるという点です。では、なぜ多くの患者で達成できていないのでしょうか。背景には、医療資源の地域差や受診の中断、服薬アドヒアランスの問題があります。また、家庭血圧を十分に測定していないケースも少なくありません。

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