最新回の朝ドラ「ばけばけ」ウラの見所~おトキとヘブンの世界、巧みな画面構成に唸った。おじゃま虫、錦織がそこにいてよかったなあ

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コクハク

第14週「カゾク、ナル、イイデスカ?」#66

【朝ドラのツボ!】

 ヘブン(トミー・バストウ)は、錦織(吉沢亮)と2人で出雲に旅行にやってくる。ヘブンの好きな古事記の舞台を巡る2人は、旅の終わりに稲佐の浜を散歩する。出雲での旅の思い出を日本滞在記に書きたいと喜ぶヘブン。

 そこに松江にいるはずのトキ(高石あかり)が現れる。驚く錦織に「ヘブンから突然呼び出された」と答えるトキ。呼び出された理由がわからないトキと錦織に、ヘブンは「大事な話がある」と告げる。

【こちらもどうぞ】「ばけばけ」ラスト3分が最高の演出だった。想いが一つになった2人、次回がなんと待ち遠しい!

【本日のツボ】

おじゃま虫 錦織
 ※※以下、ネタバレあります※※

 ヘブンの『日本滞在記』取材も大詰め。最後の訪問地は杵築、今でいう出雲大社です。浜辺を歩くヘブンと錦織のもとに、「ヘブン先生~」と駆け寄ってくるおトキ。「なぜ呼ばれたんだ?」と怪訝そうな錦織に、「電報で『シキュウコラレタシ』」とおトキ。

 日本語もまだおぼつかないヘブンが、錦織の手を借りずにどうやって電報を打ったのか、若干の疑問は残りますが、そこは正月に免じて深追いしないことにしましょう。なにより、おトキがうれしそうなので。

 旅館でのヘブンの深刻な面持ち。何を切り出すのかと思えば、「ジツハ…カンセイ…シマス」と『日本滞在記』が完成するということでした。「おめでとうございます」と錦織。おトキに「杵築を訪れたことを書けばいよいよ完成だそうだ」と通訳します。

「そげですか」とその言葉に憂いがにじむ。『滞在記』の完成はヘブンとの別れを意味し、そのことがわかっているおトキ、寂しさをこらえて「おめでとうございます」とヘブンに伝えます。

 ここでの画面構成が実に巧みでした。ふすまを挟んで、両端にヘブンとおトキ。中央にいるはずの錦織はふすまで隠れていて見えず、おトキとヘブン、ふたりだけの世界がそっと切り取られています。

 さらに、おトキのもとに駆け寄るヘブン。「トキサン タクサン タクサン テツダイ モライマシタ。フトン、コステ、ミズアメ、アズキトギバシ、オオガメ」なんのことかと思ったら怪談の数々でした。

「アナタ イナイ カンセイ デキナイ ノ ホン アリガトウ」。ふたりが見つめ合って話す背後に錦織。この時点ではまだ、自分がおじゃま虫であることには気づいていないようです。

おトキのホンモノの涙

「ヘブン先生に会えて…夜な夜な怪談を語り…聞いてもらえてよかった。仲間、できて、本当に、楽しかった」と話しながら、目から涙があふれ、自然とこぼれ落ちるおトキ。それはもう演技を超え、感情から湧き出たホンモノの涙でした。

「ワタシモ」。そう言いながらヘブンは錦織のほうを振り返り、「ニシコリサン」と呼びかけ、英語で、「あなたという友人にも大変お世話になった」と話します。

「友人」という言葉に反応する錦織。「通りすがり」の件以来、ずっと引っ掛かっていたヘブンとの関係に「友人」という名を与えられ、さらに「『滞在記』は、あなたのおかげで充実しました」と感謝を告げられ、ウルっと…。

「『滞在記』が完成したら、松江を離れるのか?」と英語で尋ねようとした錦織に、おトキは「日本語で聞いてくださいませんか?」とおトキ。「せっかくなら、わかる言葉で聞きたいです」と。

「『日本滞在記』が完成したら、帰る ですよね?」「松江 離れる 居なくなる?」となぜかカタコトの日本語で尋ねる錦織に対して、「イテモ イイデスカ?」とヘブン。

 もう一度、「イテモ イイデスカ?」と今度はおトキを見つめて、「マツエ イル イタイ」と話します。その言葉を聞き、「なして?」とおトキ。

 その手を握り、「トナリ ズット トナリ イサセテ クダサイ」とヘブン。「イサセテクダサイ」が言えずに「イサセ イサセラレ」とやるのはご愛敬として、おトキの弾むような声が印象的でした。

 さすがの錦織もこのあたりで自分がおじゃま虫であることを察したよう。2人を交互に見、目のやり場に困り、そっと視線をはずし、所在なさげにお茶を飲んで「熱っ」とする一連の錦織の動きにも目が離せませんでした。

 出雲大社で永遠の愛を誓うヘブンとおトキ。その傍らには錦織。おトキとヘブンが結ばれたのはなによりですが、そこに錦織がいてよかったなあと思いました。

 そして、ここで八重垣神社の恋占いを思い出したおトキ。おトキの紙だけなかなか沈まなかったあげく、遠くのほうに流れてようやく沈んだあの恋占いのことです。

「あれは遠く西洋から来たヘブン先生とのご縁だったんだなあと」としみじみするおトキに、「ソウデス アレ ワタシデス」とヘブン。笑い合う2人を錦織気分で見届けながら、新年早々、幸せのお裾分けをいただきました。

(桧山珠美/TVコラムニスト)

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