森朗(気象予報士)

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12月×日 生まれてこの方、着物など全く意識してこなかったが、縁あって沖縄の離島に伝わる反物を入手したことから、物好きの虫がむくりと頭をもたげた。離島の伝統的な染織は、繊維も染料も島の素材、作るのも島の人が全て手作業で行う。気が遠くなるような工程だ。西表島を拠点に活動する染織家、石垣昭子さんは、そんな伝統工芸を頑なに守っている人とばかり思っていたが、「『手仕事』ルネサンス」(藤原書店 2860円)で本人が語ったのは、伝統的な手法に現代の技術や素材、デザインを組み合わせることで、全く新しい染織作品が生み出されるということ。島の光、水、土が作り出す布と、その生地に息を吹き込むデザイン。それはそれは奥が深いが、そこから派生して、離島の観光のあるべき姿までも考えさせられる貴重な1冊。

12月×日 沖縄人は排他的、京都人は底意地が悪い、と言われることがある。なぜそんな誤解が生じたのかを教えてくれるのが「日本一ややこしい京都人と沖縄人の腹の内」(光文社 1034円)。沖縄と京都を行き来している仲村清司が、京都と沖縄を歩き回って、その共通点を見出していく。なるほど、京都も沖縄もややこしい。

12月×日 日本語はオノマトペが非常に多いそうだ。そのオノマトペが時代と共に変化していることを面白く教えてくれるのが、オノマトペ研究の第一人者、山口仲美の「男が『よよよよよよ』と泣いていた」(光文社 1254円)。古代から現代に至る文学作品の詳細な分析による時代変化が面白い。たとえば、平和な時代には男は声をあげて泣いていたが、男に強さが求められる戦乱の世には、泣き声の描写は影を潜める。笑い声もまたしかり。笑うようすは、相手に好印象を与える「にこにこ」だったのが、時代と共に、相手を不愉快にさせる「にやにや」や「にたにた」が増殖中とか。笑うときには「にこにこ」笑って、男が声をあげて泣ける時代になってほしいものだ。

【連載】週間読書日記

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