紗倉まなが3作目の小説出版 老いの描写は「自分自身の先」

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 人気AV女優の紗倉まな(27)が老人の性を描いた小説「春、死なん」(講談社)を出版した。同作は文芸誌「群像」に掲載、発売前に業界関係者用サイトで公開されると断トツのアクセス数を記録。職業は「えろ屋」という紗倉に本作への意気込みを聞いた。

  ◇  ◇  ◇

 小説は3作目、エッセーも執筆している。

「高専に本好きの同級生がいて、勧めてくれたのが本を読み始めたきっかけです。実際にものを書き始めたのはAV女優になってからです。小学生のころは作文が苦手で、先生にもあなたの書くものはよくわからないと減点されたりしていました」

 小説の主人公は70歳の男性。妻に先立たれてからAVを見て自慰行為を繰り返す姿など、高齢者の性を描いている。

「AVのリリースイベントには60代、70代の方もいらっしゃるので、年配の男性は触れ合う機会の多い身近な存在でした。地方だとパチンコ店の隣にAV店があったりして、パチンコの帰りに立ち寄ってくださる方もいます」

 高齢者の男性をどう思う?

「作品で共演したことがあるんですが、すてきでした。撮影は長い時間行うことが多いので、夜の9時を過ぎたころには、私の胸をなめながら寝てしまって……。普段きちんとした生活を送っているのが垣間見られて、可愛らしいなと思いました。限りある体力の中で私を気遣い、過度な自信を持たず、正解を探しながら進めてくれるところは、若い男優さんとはまた違う新鮮な感覚でしたね」

 老いの描写はどうやって。

「背伸びをして遠い存在を書いたというより、自分自身の先を描いたという感覚です。小説は、70歳の主人公・富雄が眼科でぞんざいな扱いをされる場面から始まりますが、実は私も症状についての相談を“若いから”で片づけられたことがあるんです。“年だから”も同じで、中身のない言い訳で、さまざまなことをうやむやにされることへの憤りが高齢者にもあるのではないかと。年を重ねると“その人らしい匂い・色”がより強くなると思うので、粘膜、匂い、体の傷などが年を経てどんなふうに変わるのかと想像しながら書きました」

 独特な性描写は秀逸だ。

「セックスは単に性欲を満たすだけでなく、さみしさや時間を埋めることもできる行為だと思います。けれど富雄にとっては、亡くした妻への罪悪感と後ろめたい思い出が湧き起こるきっかけになってしまうもの。祖父という清潔さを求められる役割と、性欲のある自分との乖離のスイッチなんです。こういう光の当たることのないセックスを書いてみたかった。ちなみに、私にとってのセックスはもっと日常の延長線上にあるもので、行為中に『雨が降ってきた。洗濯物、干したのに』なんてふと現実に戻ってしまうこともあります(笑い)」

 最近ショートヘアに変身したばかり。

「長所はなめやすくなったことですね(笑い)。髪を振り乱しても気にしないで演技できるところも気に入っています」

■AVも小説も「太く長く」

「えろ屋」の強みはどこにあるのだろうか?

「AVで自分の恥部を全て見せているから、多少のことは躊躇せずに決断できるところ。思い切ってやったほうが後悔せずにいられるので」

 今後のビジョンは?

「今はやりたいことをやらせていただいているので、AVも小説も太く長く続けられたらと思います」

(聞き手=岩渕景子/日刊ゲンダイ)

▽さくら・まな 1993年、千葉県生まれ。18歳でAVデビューし、2015年にスカパー!アダルト放送大賞で3冠を達成。テレビ、グラビア出演のほか、16年に出版した処女小説「最低。」が映画化するなどマルチに活躍。

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