最新! ポスト団塊時代の世代論
団塊の世代が70代を迎えて9年。そのジュニア世代も50代を迎え、世間はすっかり様変わりした。いまや社会の中核を担うポスト団塊世代を読み解く4冊を紹介しよう。
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「中年中心社会」原田曜平著
団塊世代は“年寄りらしくない年寄り”といわれる。ホメ言葉と思いきや、実は「幼稚な年寄り」というのでガックリ。ではそのジュニア世代はどうか。
本書は若者文化に詳しいマーケッターとして知られる著者が論じる団塊ジュニアとそのジュニア世代の現在だ。団塊ジュニア世代は人口の大きな世代だが、就職氷河期にぶつかった「かわいそうな若者」世代。それゆえ子どもの数が少なく、これが現在の少子化につながった。彼らは世代全体でまとまらず、「イマドキこだわり中年」から「インスタを愛する中年量産女性」、かと思うと「紙媒体に消費する保守的ググらー」や「自分より家庭重視の超節約家」、果ては「無気力中年男性」まで何と7種類に分かれる。また総じて親子仲がよく、さらには「既婚者合コン」にも積極的。不倫でなくとも刺激や気分転換に欠かせないという。いわば戦後の男女共学教育がこの世代ではシニアになっても維持されているということだろう。 (集英社 1144円)
「『いまどきの若者』の150年史」パンス著
「『いまどきの若者』の150年史」パンス著
古代ローマ時代の古文書にも「いまどきの若者は」と愚痴が書いてあったというのは有名な話。では各時代の若者観はどう変化したか。それが本書のテーマ。明治時代に「青年」という言葉が英語のヤングマンの訳語として登場した時代から現在まで、時代ごとの時事評論や若者論を手広く集めて歴史をたどる。
戦争直後から1970年代初めまでは「理解できない存在」として若者が語られた。これが団塊世代の青年期に当たるが、「政治の季節」が終わると本格的な若者向け消費文化が花盛りとなり、「新人類」「モラトリアム」からX世代、Z世代と移ってゆくが、特徴は中年が若者文化に執着するようになったこと。逆に現代の若者は「失敗できない環境」で育ったがゆえに従順になっているのだという。カタカナ名の著者は「批評家・年表制作者」。団塊ジュニア世代らしい。 (筑摩書房 1056円)
「THE FRONTLINE GENERATION 令和シニア」 博報堂ストラテジックプラニング局ほか著
「THE FRONTLINE GENERATION 令和シニア」 博報堂ストラテジックプラニング局ほか著
マーケティングのプロが集まった大手広告代理店のチーム。クライアントからはZ世代に関するプランを依頼されることが多いが、現在のマーケットを見ると実はシニア層に注目するのが未来を見るのに役立つという。たとえば同じシニアでも70代と60代では大きく生活の中身が違う。60代は全世代の中でネットの検索率が最も高く、スマホアプリで何でも調べるのだ。
70代以上は1950年代半ば、つまり昭和30年より前の生まれ。対する60代はその後の10年間。前者は完全に引退しているが、後者は現役世代と70代の間にはさまれたシニアだ。それを本書は「令和シニア」と名づけ、本格調査する。いわば団塊ジュニアのちょっと上世代ということだろう。令和シニアはできるだけ長く働きたいと考え、そのための自己投資に金を惜しまない。若手とタメ口で話すのも嫌がらない。柔軟と慎重が同居した新しいシニアというわけだ。 (宣伝会議 2310円)
「団塊の後 三度目の日本」堺屋太一著
「団塊の後 三度目の日本」堺屋太一著
「団塊の世代」は旧通産官僚の作家・堺屋太一が作った近未来予測小説の言葉。同じく近未来小説の本書、執筆は2017年だが物語の設定がなんと2026年、つまり今年だ。明治維新と敗戦で2度も国の造り替えを迫られた日本は「失われた30年」の長期不況でまたも負け。それゆえ「三度目」の挑戦に立ち向かわねばならないという筋書き。ここでも予測の鋭さに驚かされる。世界でもまれな平和と安全、清潔と正確な社会をつくり上げた日本だが、今後の進むべき道を見失ったまま「天国」から出る勇気を持てずにいるというのだ。
ではその団塊世代のジュニアたちは? それが速水健朗著「1973年に生まれて」(東京書籍 1540円)のテーマ。戦後生まれの両親はサラリーマンと専業主婦、子どもは2人。核家族で団地住まいでマイカー族。同世代は宮沢りえ、イチロー、元ロンブーの淳ら。マイコンブーム、イカ天ホコ天、朝シャン、初期の写メなどが次々に回顧されるが、ポジティブな口調が聞こえず、団塊の親世代のようなイケイケドンドンの積極性がない。実は晩婚化と就職氷河期とで団塊ジュニアから少子化の流れは始まったのだ。 (毎日新聞出版 825円)


















