【インフレ時代の不動産】中国人はニッポン不動産を無税で次世代に
「強欲不動産」吉松こころ著
やにわに始まったインフレ。そんな時代に考える不動産のABC。
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「強欲不動産」吉松こころ著
ヒットしたテレビドラマ「正直不動産」。その理由は明快。正直な不動産屋なんてあり得ない、とみなが思っているからだ。本書はその真逆を行く書名で目を引くが、ちゃんと根拠がある。副題「令和バブルの熱源に迫る」が説くように、この価格高騰には不自然な点が多々あるのだ。賃貸業界紙に長年勤めた元記者の著者は全国の価格高騰不動産を取材。そこで出会うのが香港や中国の富裕層。香港の場合、中国政府からの締め付けを逃れるために東京に目をつけた投資ならぬ「逃資」が目立つという。
たとえば日本人は資産を残すと相続税がかかるが、中国人にはない。それゆえ品質がよくメンテナンスも行き届いたニッポン不動産を無税で次世代に引き継げるのだ。
都内の進学校には中国人子弟が続々と詰めかけているといわれるが、そういう中国人家庭はちゃっかり都心部の億ションを住まい用と投資用でそれぞれ購入し、子どもたちを日本の安定した教育環境の中で育てること自体が、ちゃっかり節税対策にもなっているわけだ。読み終わるとちょっと排外主義に傾きそうになる本でもある。
(文藝春秋 1100円)
「50歳からの不動産」牧野知弘著
「50歳からの不動産」牧野知弘著
「家は一生の買い物」というが、おいそれと手が出ないのが不動産。不惑の年を過ぎても惑い続け、50にしてようやく持ち家を、と願う人は多いだろう。本書はそんな読者に向けた「不動産屋と銀行に煽られないために」(副題)アドバイスをくれる。
たとえばタワマン。ひところは大ブームで湾岸から首都圏各地の郊外ターミナル駅周辺まで、タワマンが続々立ち並んで飛ぶように売れた。あのブーム時にこれぞと見込んでローンを組んだという人も多い。しかしブームが一段落した今、ブランド立地以外に立つタワマンにこだわるのは上策ではない。タワマンの近くには新しいタワマンが登場するが、それと比べると古いのは見劣りする。ただでさえブームで光り輝いて見えたぶんだけ、ちょっと古いタワマンはかえって不利になる。そこで本書は「逃げ遅れるな」という。
またタワマン購入では夫婦のペアローンがはやったが、50歳からの不動産購入を考える時にペアローンはリスクが大きい。金利の変動やリストラ、健康問題、さらに離婚(!)だってあり得ないわけではないのだ。生活実感に即したさまざまなポイントを挙げた解説は読みやすく役に立つ。
(中央公論新社 1100円)
「私、見ての通りの不動産屋なんですが…」山口譲司漫画 十二月田護朗原作
「私、見ての通りの不動産屋なんですが…」山口譲司漫画 十二月田護朗原作
NHKドラマにもなった「正直不動産」はオカルト風味付けのコメディーだが、こちらはコメディー調ながらもホラー風味の勝った不動産マンガ。それもそのはず、このマンガの各話には事故物件のエピソード満載なのだ。
時は平成の中頃、就職氷河期であぶれた大学中退生・志波すだれ。入社面接落選数十件後にやっと通ったのが武蔵小金井駅前の不動産屋「小金井ハウス」。しかしそこはパワハラ全開の女社長が君臨する典型的なブラック企業。おまけに怪異案件ばかりが舞い込む。ひきこもりの息子の嫁にと隣家の幼女を指名する大家。オープンハウスの捨て看板の不始末で幼児を失明させた不動産屋。幽霊の出る事故物件の跡地を買い叩き、コトバたくみに次に売りつける社長……。薄気味悪い話ばかりだが、それも「実際の体験談に着想を得た」物語だという。
ちなみに原作者(十二月田護朗)は現役の不動産業者で怪談師だとか。不動産に関連する闇が描き出されるコミカルホラー。 (リイド社 780円)



















