串田和美(俳優・演出家)が新作舞台『タイクツニック号沈没』を語る「“退屈”こそが豊かな時間では」
2023年に20年間務めた長野県松本市の公共劇場の芸術監督を終えた後、休むことなく「フライングシアター自由劇場」を立ち上げ、旺盛な創作活動をしている俳優・演出家の串田和美の新作「豪華客船タイクツニック号沈没」が6月14日から吉祥寺シアターで上演される。人を食ったタイトルに込められた串田の思いとは……。
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──単語の最初と最後の文字以外の順番が入れ替わっても正しく読んでしまうのが「タイポグリセミア」と呼ぶ現象だそうですが、チラシを見て違和感なく「タイタニック号」と読んでしまいましたが。
「ハハハ、やっぱりそうですか。タイタニック号の事故をモチーフにして現代社会への皮肉を込めた作品なので、読み違えは想定内です」
──「タイクツ」がキーワードでしょうか?
「現代社会では退屈が苦痛なものとしてとらえられていますよね。特に若い人たちはタイパ(タイムパフォーマンス)と言って効率優先です。でも、私が子どもの頃は半日、ボーッと空の雲を眺めていても飽きなかった。“ゆったりした退屈”がこの上もない豊かな時間でした。戦後、日本は焼け野原から出発して、わずか80年で今の高度情報化社会になった。でも、これ以上、列車のスピードが速くなったり、過剰な便利さは本当に必要なのか。何か置き忘れているんじゃないかという恐怖心に似た思いがあるんです」


















