著者のコラム一覧
増田俊也小説家

1965年、愛知県生まれ。小説家。北海道大学中退。中日新聞社時代の2006年「シャトゥーン ヒグマの森」でこのミステリーがすごい!大賞優秀賞を受賞してデビュー。12年「木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか」で大宅壮一賞と新潮ドキュメント賞をダブル受賞。3月に上梓した「警察官の心臓」(講談社)が発売中。現在、拓殖大学客員教授。

「時代に挑んだ男」加納典明(1)56年前、草間彌生と芸術的なクロスをした「FUCK」

公開日: 更新日:

個展「FUCK」の挑戦的で衝撃的なエロス

増田「1960年代に典明さんと草間さんがニューヨークで奇跡的な邂逅(かいこう)をし、芸術的なクロスをした。僕がメディアでの典明さんの発言の裏をじっくり読み解いていくときに感じているのはそういう部分なんです。典明さんは写真家というより芸術家という言葉のほうが似合う人です。僕はそう感じてる」

加納「そんなふうに言ってくれる聴き手は初めてです」

増田「だってそうでしょう。草間彌生さんと一緒に出てきたんだから」

加納「それ、前から知ってんですか?」

増田「もちろんです。1969年の『FUCK』ですよ」

加納 (険しい目になって上半身を立てる)

増田 あの年、ニューヨークで典明さんは草間彌生さんとクロスした。そこで撮った『FUCK』が後々の日本の美術界をぐらりと揺らした。白人男性が黒人男性のペニスをくわえたり、挑戦的で衝撃的なエロスです。男女も男同士も挿入場所がはっきり写ってます。特殊なカラーフィルムを使って、撮影方法も他の写真家では真似できないものでした」

加納「そう。赤外線フィルムを使った」

増田「米軍がベトナム戦争*のために開発した空撮用の赤外線フィルムですね。赤外線は可視光線を遮りますから、さまざまなエフェクト(撮影効果)があったわけですよね。唇が黄色になったり、茶系の髪が赤色になったり、血管が強調されたり」

※ベトナム戦争:1955年に共産主義の北ベトナムと資本主義の南ベトナムの間で起こった戦争。ソ連とアメリカの代理戦争であった。1964年にアメリカ軍が全面的に軍事介入したが、最終的に1975年まで延々と続き、北ベトナムのゲリラ戦に苦戦したアメリカが大敗した。

加納「そうですそうです」

増田「モノクロ写真も当時流行の美しさを蹴ってグランジ(『汚いもの』を意味するアメリカの俗語)な空気感を作ってます。リチャード・アヴェドンやヤスヒロ・ワカバヤシの影響を大きく超えて新しい挑戦をしていますね。ニューヨークへ行ったのは何歳だったんですか」

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「豊臣兄弟!」白石聖が大好評! 2026年の毎週日曜日は永野芽郁にとって“憂鬱の日”に

  2. 2

    川口春奈「食べ方が汚い」問題再燃のお気の毒…直近の動画では少しはマシに?

  3. 3

    あの人「なんか怖い」を回避する柔らかな言葉遣い

  4. 4

    自分探しで“変身”遂げたマリエに報道陣「誰だかわからない」

  5. 5

    (1)高齢者の転倒は要介護のきっかけになりやすい

  1. 6

    2度目の離婚に踏み切った吉川ひなの壮絶半生…最初の夫IZAMとは"ままごと婚"と揶揄され「宗教2世」も告白

  2. 7

    「誰が殺されてもおかしくない」ICE射殺事件への抗議デモ全米で勃発

  3. 8

    解散総選挙“前哨戦”で自民に暗雲…前橋出直し市長選で支援候補が前職小川晶氏に「ゼロ打ち」大敗の衝撃

  4. 9

    業績悪化で減収減益のニトリ 事業の新たな柱いまだ見いだせず

  5. 10

    チンピラ維新の「国保逃れ」炎上やまず“ウヤムヤ作戦”も頓挫不可避 野党が追及へ手ぐすねで包囲網