著者のコラム一覧
増田俊也小説家

1965年、愛知県生まれ。小説家。2012年「木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか」で大宅壮一ノンフィクション賞と新潮ドキュメント賞をダブル受賞。現在、名古屋芸術大学客員教授として文学や漫画理論の講義を担当。

「時代とFUCKした男」加納典明(1)56年前、草間彌生と芸術的なクロスをした「FUCK」

公開日: 更新日:

個展「FUCK」の挑戦的で衝撃的なエロス

増田「1960年代に典明さんと草間さんがニューヨークで奇跡的な邂逅(かいこう)をし、芸術的なクロスをした。僕がメディアでの典明さんの発言の裏をじっくり読み解いていくときに感じているのはそういう部分なんです。典明さんは写真家というより芸術家という言葉のほうが似合う人です。僕はそう感じてる」

加納「そんなふうに言ってくれる聴き手は初めてです」

増田「だってそうでしょう。草間彌生さんと一緒に出てきたんだから」

加納「それ、前から知ってんですか?」

増田「もちろんです。1969年の『FUCK』ですよ」

加納 (険しい目になって上半身を立てる)

増田 あの年、ニューヨークで典明さんは草間彌生さんとクロスした。そこで撮った『FUCK』が後々の日本の美術界をぐらりと揺らした。白人男性が黒人男性のペニスをくわえたり、挑戦的で衝撃的なエロスです。男女も男同士も挿入場所がはっきり写ってます。特殊なカラーフィルムを使って、撮影方法も他の写真家では真似できないものでした」

加納「そう。赤外線フィルムを使った」

増田「米軍がベトナム戦争*のために開発した空撮用の赤外線フィルムですね。赤外線は可視光線を遮りますから、さまざまなエフェクト(撮影効果)があったわけですよね。唇が黄色になったり、茶系の髪が赤色になったり、血管が強調されたり」

※ベトナム戦争:1955年に共産主義の北ベトナムと資本主義の南ベトナムの間で起こった戦争。ソ連とアメリカの代理戦争であった。1964年にアメリカ軍が全面的に軍事介入したが、最終的に1975年まで延々と続き、北ベトナムのゲリラ戦に苦戦したアメリカが大敗した。

加納「そうですそうです」

増田「モノクロ写真も当時流行の美しさを蹴ってグランジ(『汚いもの』を意味するアメリカの俗語)な空気感を作ってます。リチャード・アヴェドンやヤスヒロ・ワカバヤシの影響を大きく超えて新しい挑戦をしていますね。ニューヨークへ行ったのは何歳だったんですか」

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 芸能のアクセスランキング

  1. 1

    周囲にバカにされても…アンガールズ山根が無理にテレビに出たがらない理由

  2. 2

    田中圭“まさかの二股"永野芽郁の裏切りにショック?…「第2の東出昌大」で払う不倫のツケ

  3. 3

    中森明菜が16年ぶりライブ復活! “昭和最高の歌姫”がSNSに飛び交う「別人説」を一蹴する日

  4. 4

    永野芽郁「二股不倫」報道で…《江頭で泣いてたとか怖すぎ》の声噴出 以前紹介された趣味はハーレーなどワイルド系

  5. 5

    永野芽郁「キャスター」視聴率2ケタ陥落危機、炎上はTBSへ飛び火…韓国人俳優も主演もとんだトバッチリ

  1. 6

    永野芽郁“二股肉食不倫”の代償は20億円…田中圭を転がすオヤジキラーぶりにスポンサーの反応は?

  2. 7

    永野芽郁“二股不倫”疑惑「母親」を理由に苦しい釈明…田中圭とベッタリ写真で清純派路線に限界

  3. 8

    田中圭が『悪者』で永野芽郁“二股不倫”騒動はおしまいか? 家族を裏切った重い代償

  4. 9

    永野芽郁「二股不倫報道」の波紋…ベッキー&唐田えりかと同じ道をたどってしまうのか?

  5. 10

    のんが“改名騒動”以来11年ぶり民放ドラマ出演の背景…因縁の前事務所俳優とは共演NG懸念も

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    永野芽郁「キャスター」視聴率2ケタ陥落危機、炎上はTBSへ飛び火…韓国人俳優も主演もとんだトバッチリ

  2. 2

    佐々木朗希「スライダー頼み」に限界迫る…ドジャースが見込んだフォークと速球は使い物にならず

  3. 3

    「たばこ吸ってもいいですか」…新規大会主催者・前澤友作氏に問い合わせて一喝された国内男子ツアーの時代錯誤

  4. 4

    永野芽郁「二股不倫」報道でも活動自粛&会見なし“強行突破”作戦の行方…カギを握るのは外資企業か

  5. 5

    周囲にバカにされても…アンガールズ山根が無理にテレビに出たがらない理由

  1. 6

    インドの高校生3人組が電気不要の冷蔵庫を発明! 世界的な環境賞受賞の快挙

  2. 7

    三山凌輝に「1億円結婚詐欺」疑惑…SKY-HIの対応は? お手本は「純烈」メンバーの不祥事案件

  3. 8

    永野芽郁“二股不倫”疑惑「母親」を理由に苦しい釈明…田中圭とベッタリ写真で清純派路線に限界

  4. 9

    佐藤健と「私の夫と結婚して」W主演で小芝風花を心配するSNS…永野芽郁のW不倫騒動で“共演者キラー”ぶり再注目

  5. 10

    “マジシャン”佐々木朗希がド軍ナインから見放される日…「自己チュー」再発には要注意