著者のコラム一覧
酒向正春ねりま健育会病院院長

愛媛大学医学部卒。日本リハビリテーション医学会・脳神経外科学会・脳卒中学会・認知症学会専門医。1987年に脳卒中治療を専門とする脳神経外科医になる。97~2000年に北欧で脳卒中病態生理学を研究。初台リハビリテーション病院脳卒中診療科長を務めた04年に脳科学リハビリ医へ転向。12年に副院長・回復期リハビリセンター長として世田谷記念病院を新設。NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」(第200回)で特集され、「攻めのリハビリ」が注目される。17年から大泉学園複合施設責任者・ねりま健育会病院院長を務める。著書に「患者の心がけ」(光文社新書)などがある。

倉本昌弘さん(3)もっと本気を出していたらあと20勝はできたかもしれない

公開日: 更新日:

 理論的なトレーニングを重ねて、70歳の今もシニアで活躍を続ける倉本さん。アマチュア時代からタイトルを総ナメし、「敵なし」だったことは広く知られた話です。ところが、ゴルフを始めたきっかけ、プロになった動機を聞いて驚きました。「プロになる気はなかった」というのです。

  ◇  ◇  ◇

 ──ゴルフを始めたのは何歳くらいですか?

「10歳からですね」

 ──きっかけは?

「父がゴルフをやっていて、その練習に連れていかれた。もうひとつ、どうも体が弱かったらしくて何かスポーツをやらせようということになったんですが、当時の広島には柔道とか剣道しかなくて。最初はそちらに行ったんですが、どうも合わなくて。そのうちゴルフが好きになったんですね」

 ──いきなりコースへ?

「最初は練習場で、11歳からコースに行き始めました。父親が広島ゴルフ倶楽部のメンバーでしたから。でも、当時はプレーよりもゴルフ場で虫を捕ったりする方が楽しくて」

 ──その後、倉本さんはアマチュアゴルフで大活躍されます。高校時代は全日本ジュニアチャンピオン、日大ゴルフ部では空前絶後の日本学生選手権4連覇、日本アマ3勝など総ナメですね。いつ頃から本格的にプロを目指そうと思われたんですか?

「それが25歳になるまで一度もプロを目指したことはないんです」

 ──アマで負けなしですよね。勧誘にも来るでしょう?

「相撲部屋とかプロ野球とは違いますから勧誘はないです。職業にする気はありませんでした」

 ──それはなぜですか?

「プロゴルファーになるより、父親の後を継いで事業をやりたかったんですね」

 ──お父さまは広島で料亭旅館をやられてたんですよね。ご長男ですか?

「日本料理と旅館ですね。姉が1人いますが、長男です。事業を継ぐために日大卒業後MBAを取るために米国のイーストテネシー州立大学に留学させてもらったんです。そうしたら、父親が脳梗塞で倒れて、すぐ帰ってこいと。それですぐ、旅館を継ぎました。22歳の9月でした」

 ──その年で事業を引き継ぐのは大変ですよね。

「右も左もわかりませんから、京都の料亭にでっち奉公に行く予定だったんです。そうしたら、翌々年のプロの試合、中四国オープンでアマチュアなのに勝ったんです。周りもプロでやったらどうか、と言い出して。親父に相談したら“やめとけ”と。“こっちの方が儲かるぞ”と反対されて。でも、あるお客さんから言われた一言が決め手になりました」

 ──それはどんな?

「“おまえはいいな。親のスネかじって、仕事もしないでゴルフをやって、それで勝って”ということですね。カチンときて、だったら実力勝負のプロの世界で勝ってやると」

 ──反逆の精神ですね。

「そうです。もし、京都に修業に行ってたら2年間、板前の仕事をやる予定でした。いまでも包丁くらい研げますよ」

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