最大の特徴は日記の形をしたタイムトラベル装置「時間旅行者の日記」藤岡みなみ著
「時間旅行者の日記」藤岡みなみ著
タイムトラベル。多くの科学者の夢のひとつだと思う。過去から未来へ大移動。学生時代ドラえもんを見て、過去に戻ってやり直したい。いやそもそもあの「今とは大分違う時間の場所」に行くという体験だけでも味わいたいと思ったものだ。
そんなタイムトラベルを実現可能にした装置が現れた。ちなみに人生のやり直しは出来ないが、その装置の窓から時空移動の景色は見える。この装置は「日記」の形をしている。
タイムトラベル装置こそ本著の最大の特徴、それは、著者の人生に関わる本物の日記であり、日付こそ366日連続しているのだが、書かれている「年」がランダムになっているのだ。2025年の1月19日だったり、2001年の6月21日だったり、なんなら著者が0歳だった1988年の日記も。文字が書けない時代の日記は一体誰が書いたものなのか、そこもかなり読みごたえがあるので、ぜひ確認してほしい。突然30年以上時が動くのでSF小説を読んでるワクワクがしっかり摂取できる。
日記ならではの面白さとして登場人物の説明などは特にない。ちょくちょく出てくる「しおり」なる人物は何者かと読んでるこちらが想像したり、著者の旦那さんの家族がどんな方なのか急に分かったり、著者が人前に立つ活動をかなり昔からしているなと感心したり、日記だからこその楽しみが大いにある。「この日をどの年で抽出するか」の選定が非常にうまいなと感じた。子ども時代は視点が自分のこと中心。年を重ねていくと他者や世界をしっかり観察した文章になっているのも興味深い。
年によってはコロナ禍や震災、世界で起きてる悲惨な実情など、記事ではなく日記のリアルさだからこそ思い出せた感情もあった。
個人的な話になってしまうが私は著者と同い年だ。だからこそ「わ! 自分もこの時代めちゃイケ最高~! と思って学生してたー!」とか思えたり、素晴らしいご家族と年末年始過ごせて良かったねと勝手に少し疎遠になった同級生気分になったりでかなり感情移入してしまった。
この時間旅行が出来る日記を読んだならば、あなたもきっと日記をつけたくなるだろう。そこがあなたのタイムトラベルのスタート地点だ。
(左右社 2530円)



















