著者のコラム一覧
増田俊也小説家

1965年、愛知県生まれ。小説家。北海道大学中退。中日新聞社時代の2006年「シャトゥーン ヒグマの森」でこのミステリーがすごい!大賞優秀賞を受賞してデビュー。12年「木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか」で大宅壮一賞と新潮ドキュメント賞をダブル受賞。3月に上梓した「警察官の心臓」(講談社)が発売中。現在、拓殖大学客員教授。

「時代に挑んだ男」加納典明(2)草間彌生さん主導で乱交パーティーが繰り広げられ、俺は…

公開日: 更新日:

写真家・加納典明氏(83)

 小説、ノンフィクションの両ジャンルで活躍する作家・増田俊也氏による新連載がスタートしました。各界レジェンドの一代記をディープなロングインタビューによって届ける口述クロニクル。第1弾は写真家の加納典明氏です。

  ◇  ◇  ◇

増田「渡米するときに国内では平凡パンチ以外にも何か依頼はありましたか」

加納「うん。あった。『ニューヨークから帰ってきたら加納さん、うちのギャラリーで個展やってよ』って言う人がいて『うん、いいよ。なんか撮ってくるよ』って。平凡パンチの仕事終わってから向こうでヌードやら街の景色やらスナップショットも随分撮った」

増田「そのときに草間彌生さんと会ったんですね」

加納「そうです。石川次郎が『ちょっと変なのがいるんだよ』って。当時、彼女は男根の大きな模型を無数に作って並べたり……ご存じですよね。あの時代です。ニューヨークでパフォーマーをやってた。他にも僕が撮った中にもアンディ・ウォーホル*のパフォーマーとかも写ってるんだけど、当時はニューヨークの芸術の超爆発の時期で、いろいろいた。草間さんはそういう人たちを集めて、例えばセントラルパークとか、街の中でそういうパフォーマンスしてましたね」

※アンディ・ウォーホル:20世紀のアメリカを代表する画家。版画家。芸術家。1928年、スロバキア移民の両親の元でペンシルベニア州に生まれる。カーネギー工科大学卒業後、ニューヨークへ移った。1961年、キャンベルスープの缶や紙幣をモチーフにして描いて大ブレーク、ポップアートの旗手となって世界の美術界を牽引した。

増田「まさに世界の芸術が変わるその瞬間の時ですね」

加納「うん。で、僕もブルックリンブリッジの上とか、セントラルパークとか、普通だったらパーミット(許可)は絶対おりないようなところでヌードを撮りましたね」

増田「ゲリラ撮影ですね」

加納「そう。撮ってはサッと逃げるというやり方で。例えばウォール街なんかじゃ普通、ヌードは撮れないですよね。昼時に交差点の真ん中で、合図とともにモデルに脱がせた。それでバシャバシャ撮って待たせてあるポルシェのオープンカーに飛び乗って逃げたりね。ブルックリンブリッジやエンパイアステートビル。地下鉄でも撮ったし、セスナ機にモデルと一緒に乗ってニューヨークの夜景と一緒にヌード撮るとか。石川次郎なんか相当に苦労したと思う。それもやっぱり日本の雑誌でやった」

増田「そういうときに草間彌生さんと会って、あの伝説的な写真集『FUCK』に行き着くと」

加納「そうです」

増田「『FUCK』の撮影以外で典明さんと草間さんの関係は?」

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