長引く「咳」の裏側に心臓トラブルが隠れているケースがある
逆に上体を起こしたり座ったりすると、少し呼吸が楽になります。これがいわゆる「起座呼吸」と呼ばれる状態で、心臓弁膜症などの心臓トラブルによって慢性的な心不全が起こっているサインであることが多いとされています。
心不全が進行して肺うっ血がさらにひどくなると、「湿性咳嗽」と呼ばれる湿った咳が出るようになります。心不全の初期にみられる「コンコン」という乾いた音の空咳ではなく、痰がからんで「ゴホゴホ」と湿った音がする咳のことです。さらに血痰が出るようになったら、重症な心不全である可能性が高くなります。
「心筋炎」や「心筋症」でも、長引く咳がサインになるケースがあります。心筋炎は、心臓の筋肉が障害されることでポンプ機能が低下する病気です。風邪を引き起こすコクサッキーウイルスやアデノウイルスなどのウイルス感染によって生じる上気道炎が原因になる場合が多く、上気道炎の発症から1~2週間後に、心筋に炎症が起こります。
上気道炎による発熱やだるさ、体の節々の痛みといった症状が治まった後も空咳が続く場合、心筋炎で心臓の収縮力が低下し、全身へ十分に血液を送り出せなくなって慢性的な心不全を招いたり、致死性の不整脈が起こる危険があります。臨床的には若い女性に見られることが多い劇症型の心筋炎では、急性心不全からの呼吸困難で窒息のように息ができなくなり、緊急で補助循環装置の接続を行い、炎症で機能低下した心臓を休ませて、時にはサイトカイン除去の治療も追加しないと救命できず、それでも場合によっては補助人工心臓の装着に持ち込み、心臓移植待機状態になるケースもあります。


















