「フレイル」は心機能を低下させて心臓病の予後を悪くする
世界で最も高齢化が進んでいる日本で、深刻な課題になっているのが「フレイル(虚弱)」です。加齢により心身の活力が低下して健康障害を起こしやすくなった状態で、要介護の一歩手前の状態をいいます。
フレイルにはさまざまな要因があり、身体活動の低下、認知機能の低下、低栄養、社会的な孤立のほか、最も重要な要因とされているのが「サルコペニア」です。加齢によって筋肉量が減少し、筋力や身体機能が低下している状態を指します。筋肉量が減ると身体機能の衰えから活動量の低下を招き、食欲が落ちて低栄養がさらに悪化し、サルコペニアが進むという悪循環が起こります。
高齢者のフレイルは、日々の生活の質(QOL)が大きく低下するうえ、さまざまな合併症を引き起こすリスクが高くなります。たとえば、健常な人なら大きな問題がない風邪でも、フレイルの状態では肺炎を発症したり、なんらかの病気にかかった際に死亡率の上昇を招きます。転倒しやすくなって打撲や骨折を引き起こし、そのまま寝たきりになってしまうケースもあります。
フレイルは、心臓病とも深く関係しています。今年1月、名古屋大学医学部付属病院循環器内科の研究グループが、「血液検査で算出できるフレイル指標(FIラボ)により、心不全入院患者の予後を予測できる」との研究結果を発表しました。FIラボが高値の心不全患者は、低値の患者に比べ、退院後の全死亡が2.11倍高く、全死亡+心不全入院でも1.40倍高いという結果でした。とりわけ、FIラボに加えて、診察所見と日常生活の自立度などを総合して評価するフレイル指標(CFS)も高い患者は、退院後の予後リスクが特に高いことがわかりました。


















