著者のコラム一覧
小林佳樹金融ジャーナリスト

銀行・証券・保険業界などの金融界を40年近く取材するベテラン記者。政界・官界・民間企業のトライアングルを取材の基盤にしている。神出鬼没が身上で、親密な政治家からは「服部半蔵」と呼ばれている。本人はアカデミックな「マクロ経済」を論じたいのだが、周囲から期待されているのはディープな「裏話」であることに悩んで40年が経過してしまった。アナリスト崩れである。

理系卒社長が切り込む「花王」の聖域なき改革…看板商品ヘルシアもキリンに売却

公開日: 更新日:

 ヘルシアの売却は、そうした苦境を脱するための事業の“選択と集中”の一環で、主導するのは21年1月から社長に就いた長谷部佳宏氏だ。

 長谷部氏は1960年生まれの63歳。90年に東京理科大大学院を卒業し、同年4月に花王に入社した理系出身者だ。

 化学品研究所室長、ハウスホールド研究所室長、ヘアビューティケア研究所長、基盤研究セクター長、エコイノベーション研究所長などを経て、2014年3月執行役員、研究開発部副統括に就任。16年3月取締役常務執行役員、18年4月先端技術戦略室統括などを歴任し、19年3月代表取締役専務執行役員を経て、21年1月代表取締役社長執行役員に就任した。

 長谷部氏の経営ビジョンは、「強くてしなやかな新生花王への変貌を急ぐ」というもの。中国人の支持を集め人気商品となった紙おむつも、中国メーカーの台頭で競争力が低下したとみるや現地生産を終了させたほか、化粧品でも約30あるブランドのうち10程度の統廃合を検討している。また、「従業員の早期退職を勧奨し、支払金の増額、転職支援を行うなど聖域なき構造改革を推し進めている」(取引銀行幹部)とされる。

 一方、花王は「ヘルシア」をキリンに売却したが、キリンとは免疫機能と内臓脂肪といった健康飲料に関する共同研究は継続している。

 理系出身者ならではの、理詰めの改革は実を結ぶか。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • トピックスのアクセスランキング

  1. 1

    共産党は“裏金スクープ連発”で自民惨敗させるも議席減…強まる《政党名変えたら?》に党の見解は

  2. 2

    国民民主の躍進予想に水差す醜聞…千葉5区出馬の新人・岡野純子候補に「政治とカネ」疑惑

  3. 3

    連合・芳野会長「共産党と共闘しなくても勝てる」発言の何サマ? 《共産が衆院選のMVP》とツッコミの嵐

  4. 4

    石破首相の逆ギレは説得力ゼロ 「2000万円支給問題」は裏金事件と同じ構図…またも露呈した無反省ぶり

  5. 5

    「訪問介護」中小の倒産が過去最悪…スタッフ高齢化、大手参入、コスト高が“三重苦”に

  1. 6

    丸川珠代候補「お助けください」涙の訴えに過去の“ヤジ動画”急拡散…《愚か者めが》の勇ましさどこへ?

  2. 7

    元安倍派・豊田真由子氏が「羽鳥慎一モーニングショー」で暴露!“パー券販売”の驚愕実態にSNS震撼

  3. 8

    三菱UFJはネット証券再編で劣勢挽回なるか…“消える”auカブコム証券

  4. 9

    自民“裏金非公認”は偽装だった!赤旗砲またも炸裂「党本部が非公認の支部に2000万円振り込み」の衝撃

  5. 10

    萩生田光一氏“自民党本部2000万円振込”に「ありがた迷惑」と激怒もどの口で?《自業自得では》とSNSでバッサリ

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「高校生を指名するのが怖くなった」…プロ球団ベテランスカウトが漏らす苦悩と本音

  2. 2

    自民・高市一派は衆院選28敗に終わる…全国サナエ行脚も虚しく「石破おろし」ご破算の目

  3. 3

    《中日》1位指名した金丸夢斗をパ全球団が“完全スルー”した裏に「カラダの問題」

  4. 4

    育成契約は嫌だった?ドラフトで名のある高校球児が軒並み指名漏れのカラクリ

  5. 5

    小泉進次郎氏サッサと選対委員長辞任…「すべて私が責任取る」で“泥舟からの逃亡”が真意

  1. 6

    岩井姉妹ワンツーフィニッシュでも「客離れ」に拍車…今季33試合のうち20試合がギャラリー減

  2. 7

    デーブ大久保さん(2)長嶋監督に「大洗を買いなさい」と勧められ「ゴルフ場も買えるんですね」と返したら…会員限定記事

  3. 8

    油を取ってスルスルやせる「MCTオイルダイエット」…実践した医師は2カ月で6キロ減

  4. 9

    阿部詩は大号泣、斉藤立も憔悴…ニッポン柔道大苦戦を招いた「全柔連の罪」

  5. 10

    RADWINPS野田洋次郎に“泥酔飲み会”報道 ファンも失望させた表現者としての「ダサさ」