冬から一気に夏へ!「二季化熱中症」に要注意!
夏は猛暑、冬は厳冬というメリハリ型の天候をもたらしがちなラニーニャ現象の影響で、日本において夏日の期間を長くし、春や秋を短くする「四季の二季化」が顕著になっている。
その結果、今年は4月から暑い日が続き、通常の暑さ対策では間に合わない状況が発生しているというから問題だ。
■二季化によって生じる 「二季化熱中症」
「四季の二季化」がもたらす健康上の弊害で最もリスキーなのは「熱中症」の増加だろう。
体温調整機能がうまく働かなくなり、体の中に熱がたまって体温が上昇することで生じる熱中症は従来、7~8月の日中に最高気温が高くなって真夏日が増え出すと患者が増加し、猛暑日にはさらに急増する。したがって、それに応じた対策を講じる必要があった。
しかし、「四季の二季化が進んだ今、これまでの対策では熱中症を防ぐことはできません」というのは、救急医療の立場から夏の暑さ対策や体調を崩した際の対応についてマスコミを通して広く発信している伯鳳会・東京曳舟病院(墨田区)の三浦邦久副院長だ。
「熱中症の予防で大切なのは暑さに体を慣らすということです。ところが、四季の二季化が進んで春のうちから気温が急激に上昇すると体温調節機能が整っていないために体が対応しきれず、ナトリウム(ミネラル)が体外に出てしまうことで熱中症リスクが高まってしまうのです」と三浦副院長は「二季化熱中症」に警鐘を鳴らす。
つまり、これまでであれば春から本格的な夏に向けて徐々に体を慣らしていく、いわゆる「暑熱順化」で十分であったが、今やそれでは万全とはいえないということだ。
■今年は暑熱順化+急な気温上昇への対応をセット「暑熱即応」
そこで今、とりわけ重要になるのが従来通りの暑熱順化に加えて、急激な気温上昇に対して徐々にではなく、即対応していく「暑熱即応」という考え方も取り入れたWアプローチである。
前出の三浦邦久副院長も、「たしかに、現在の二季化の状況を考えると暑熱順化だけでは十分とはいえないかもしれないですね。医食同源の観点からいっても暑熱即応というのは理にかなっていると思います」とその効果のほどを認めている。
■「二季化熱中症」予防に ソルティーヨーグルトを
では、熱中症対策として日頃からどのようなことを心がけておけばいいのだろうか。
基本的な予防対策を続けて三浦副院長にお聞きすると、挙げてくださったポイントは、
①食事、特に朝食をしっかり食べる
②散歩など1日15~30分程度の軽い運動をする
③半身浴でじっくり汗をかく、の3点。
中でも朝食をしっかり摂ることはとても大事であり、熱中症予防に効果的な食材としてはヨーグルトを推奨された。
「水分不足から起こる熱中症を防ぐには腸の働きをよくすることがとても大切です。腸の吸収をよくすることで水分や他の食材の吸収がよくなるのですが、ヨーグルトなどの乳製品には整腸作用があり水分をしっかり体の中に取り込むことができるばかりか、ヨーグルトに含まれる乳たんぱくには筋肉に水分を蓄えてくれるという水分保持の効果もあり、脱水症状を防いでくれます。これらの点から熱中症予防にヨーグルトは欠かせない食材だといえるでしょうね。私も意識して毎日食べるようにしています」
また、ヨーグルトを摂る際、塩をひとつまみ加えることもおススメなのだそうだ。
「汗をかくとどうしても体内から塩分が失われてしまいますから、適度に塩分を補給してあげることがとても大事なのです。ヨーグルトに塩というとビックリする方もいらっしゃるかもしれませんが、海外では当たり前なんですよ」
これらはまさに真夏に向けての体づくりを行う暑熱順化と急な気温上昇への対処をセットで行う「暑熱即応」の考え方と言える。たしかにヨーグルトの本場ブルガリアでも暑い夏には「アイリャン」という飲み物をよく飲むが、これはヨーグルトを水で薄め塩を入れて冷蔵庫で冷やすというもの。
今年の夏は一度試してみてはどうだろうか。