秋野暢子さんは言いたいことはサラッと言う“大阪のおばちゃん” でも空気が読めて、間も計れる
食道がんと敢然と闘われている秋野暢子さん。力強いメッセージに勇気と元気をもらっている方もきっとたくさんいらっしゃることでしょう。初めてお仕事させていただいたのはもう30年以上前のこと。特番のゲストでいらした秋野さんはバリバリの人気女優。下っ端のスタッフにもメインの出演者と変わらぬ熱量と笑顔で「おはようございます! よろしくお願いします!」と大阪弁のイントネーションで元気に挨拶をされていました。
番組進行の話になると“美人女優”から“大阪のおばちゃん”に変身。秋野さんに予定外のフリをCMの合間にお願いにいくと「どうすんのん? どうすんのん?」と困った顔をされて説明を聞き「ウン、ウン、わかったアイアイサー!」とおどけられて「うちアホやな」と自分でツッコまれたり「それやったら、こう言うた方がエエことない?」と積極的に提案されて「そっちの方がいいですね」と応えると「せやろ~! 私天才ちゃうかな?」と得意げに人さし指を顔の前で揺らしながらニッコリ。
何度かご一緒しても、その姿勢は変わることはなく。一番印象に残っているのは「漫才の歴史」をたどる収録番組でのことです。同じパネリスト席にいらした、いとし・こいし師匠に「あれはむちゃくちゃお稽古しはるんですか? それとも自然にできてしまうもんなんですか?」とか「師匠、なんであんな絶妙の間でしゃべれますのん?」と台本にない疑問を矢継ぎ早にされて「アカン、仕事忘れてるわ! ファン代表になってるわ!」と言いながら「こんな時でもないと直接師匠に聞けませんもん、もうひとついいですか? あとでカットしてください」と更に聞くものだから、MCから「そういう細かいことは楽屋で聞いてください」と言われ、そこに間髪入れず「収録終わったらすぐ出なあきませんねん。いま聞いとかな、今度、師匠といつお会いできるかわかりませんやん!」。