(8)スマートウオッチが医療の大改革を招く可能性がある
血圧と心電図はまだ力不足、血糖値はまだ実用化に至っていない、というのが、スマートウオッチの現在地です。しかし、今後はAI技術の応用などさまざまな改良が進み、実用性が高まることが期待できます。
また、血中トリグリセリド(中性脂肪)の光計測の研究が進んでいます。血糖値と同じで、中性脂肪が特異的に吸収する波長の赤外線を使って測定する方法です。そう遠くない時期に、ウオッチに搭載されるかもしれません。
おそらく2030年代には、いまの健診でやっている基本的な検査項目の多くが、ウオッチやスマホで測れるようになるでしょう。個人レベルでの日常的な健康管理に欠かせないツールになっていくはずです。
それだけでなく、専門的な医療にも大きな影響を与えるかもしれません。とくに血圧と心電図に注目が集まっています。
血圧は椅子に座って呼吸を整え、カフを上腕の正しい位置に巻き、心臓と同じ高さに保ちながら、測定することになっています。日常生活では、ほとんどあり得ない状態で測定したものが「正しい血圧」で、それに基づいて高血圧の基準などが作られているのが現状です。