極めて怪しい米国のバグダディ容疑者の殺害発表とその根拠
米国のトランプ大統領は10月27日、米軍特殊部隊がIS(イスラム国)の最高指導者バグダディ容疑者を殺害したと発表した。トランプ大統領は、「バグダディが泣き叫んでいた。犬のように死んだ。臆病者のように死んだ」と述べ、さらに「異常で、邪悪なヤツだったが、今や消え去った。米国にとっては素晴らしい日になった」と語った。異常ぶりは国際秩序を踏みにじるトランプ氏にも感ずるが、彼はまるで西部劇のお尋ね者を殺害した保安官のようにその「成果」を誇った。
パレスチナ人の思想家エドワード・サイード(1935年~2003年)は、その著書「オリエンタリズム」(1978年)の中で、ヨーロッパは歴史的にオリエント(東洋)を自らとはまったく対照的なものとして、後進性、敵対性、非合理性をもつ実体としてとらえている(=「オリエンタリズム」)と主張したが、バグダディ容疑者の殺害後のトランプ氏の発言には、イスラム世界を卑下する感情も表われていたかのようだった。