宮田律
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宮田律現代イスラム研究センター理事長

1955年、山梨県甲府市生まれ。83年、慶應義塾大学大学院文学研究科史学専攻修了。カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)大学院修士課程修了。専門は現代イスラム政治、イラン政治史。「イラン~世界の火薬庫」(光文社新書)、「物語 イランの歴史」(中公新書)、「イラン革命防衛隊」(武田ランダムハウスジャパン)などの著書がある。近著に「黒い同盟 米国、サウジアラビア、イスラエル: 「反イラン枢軸」の暗部」(平凡社新書)。

何の「調査・研究」に行くのか意味不明な自衛隊の中東派遣

公開日: 更新日:

 10月23日、自民党は外交・国防両部会などの合同会議を開き、自衛隊の中東海域への派遣をめぐって議論を行った。この部会では日本政府が米国の主導する有志連合に参加しないこと、他方で緊密に連携していくことで米国政府の理解を得ていることなどが中山康秀外交部会長から伝えられた。ペルシア湾岸地域で緊張を煽る米国主導の有志連合への不参加は理解できるが、何について「緊密に連携していく」かがわからない。

 米国トランプ政権のイランに対する敵対政策に「緊密に連携していく」のではイランの日本に対する不信を招く。会議ではペルシア湾やホルムズ海峡を含めるべきだと一部議員たちが発言し、また中谷元・元防衛相も会議後に記者たちに対して「(ホルムズ海峡などは)日本船舶がかなり通っている。一番危険が予想されるところや今まで事件が起こったところをあえて外すのはなぜか。派遣する以上は、しっかりと我が国の船舶の安全のために情報収集することが必要ではないか」と記者たちに語った。

 中谷氏の発言にはイラン核問題のこれまでの経緯や現在の中東事情など考慮に入れず、日米同盟の観点しか視野にない様子がうかがえる。日米同盟だけで中東政策を追求すれば、日本のこの地域での立場は相当危うくなる。米国ほど中東地域で反発されている国はなく、トランプ政権による米大使館のエルサレム移転や、1967年の第3次中東戦争の結果、イスラエルが占領を続けるシリアのゴラン高原にイスラエルの主権を認めたことなど第2次世界大戦後に、国際法や国連決議を無視してイスラエルを一方的に支援してきたり、またイラク戦争で無辜の市民を殺害してきたりした米国の介入政策に不快感もつ中東の市民はきわめて多い。

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