「ツチハンミョウのギャンブル」福岡伸一著
ツチハンミョウが生まれるのは、地中で幼虫時代を過ごしたコハナバチが成虫になって地上に現れる時期だ。ツチハンミョウは匂いを頼りにコハナバチにとりつき、振り落とされないようにして花に止まったら飛び移る。
そして今度はヒメハナバチが飛んでくるのを待つ。そしてヒメハナバチの足に飛び移り、ヒメハナバチが花粉団子を作ってその中に卵を産むと、ツチハンミョウは孵化した幼虫や花粉団子を食べて成虫になる。これしか食べないので、うまくヒメハナバチに巡り合ったものだけが生き残る壮絶なギャンブル人生なのだ。
ほかに、凄腕の産科医の架空の物語で円周率を覚える方法など、博学な福岡ハカセの仮説、珍説を満載。
(文藝春秋 1700円+税)