【自然科学】ナポレオンに次いで有名だった“知の巨人”

公開日: 更新日:

 19世紀前半、ナポレオンに次ぐ有名人と目された男。中南米各地を実地踏査し、文豪のゲーテ、第3代米国大統領ジェファーソンとも親交があり、その男が書いた著作は、スペインの植民地支配から脱するべく独立運動を指導したボリバルの背中を押し、ダーウィンの「種の起源」やソローの「森の生活」の成立、ヘッケルの「生態学」の概念に多大な影響を与えた。それほどの人物にもかかわらず、近年その男の名前は忘れ去られていた。

 本書はその男の業績をあらためて丁寧にたどり直し、彼が残した豊饒な遺産を現代の我々がいかに受け継ぐべきかを説いた野心作。ことに自然界の生き物はその大小にかかわらず「生命の網」としてすべて有機的につながっているとし、南米植民地で行われていた深刻な環境破壊にいち早く警鐘を鳴らした彼は、現在の環境問題の先駆として重要な位置づけがなされている。

 この男の名前だけは知っている人も多いと思うが、科学と自然を総合的に見渡す不世出の知の巨人の足跡をたどっていけば、大いなる知的興奮に駆られること請け合い。

★先週のX本はコレでした

「約束」
イジー・クラトフヴィル著
河出書房新社 2600円+税

【連載】書名のない書評「ゲンダイX本」

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    オコエ瑠偉 行方不明報道→退団の真相「巨人内に応援する人間はいない」の辛辣

  2. 2

    矢沢永吉&松任谷由実に桑田佳祐との"共演"再現論…NHK紅白歌合戦「視聴率30%台死守」で浮上

  3. 3

    ヤクルト青木宣親GMは大先輩にも遠慮なし “メジャー流”で池山新監督の組閣要望を突っぱねた

  4. 4

    神田沙也加さん「自裁」の動機と遺書…恋人との確執、愛犬の死、母との断絶

  5. 5

    藤川阪神の日本シリーズ敗戦の内幕 「こんなチームでは勝てませんよ!」会議室で怒声が響いた

  1. 6

    日本ハムが新庄監督の権限剥奪 フロント主導に逆戻りで有原航平・西川遥輝の獲得にも沈黙中

  2. 7

    DeNA三浦監督まさかの退団劇の舞台裏 フロントの現場介入にウンザリ、「よく5年も我慢」の声

  3. 8

    阿部監督のせい?巨人「マエケン取り失敗」の深層 その独善的な振舞いは筒抜けだった

  4. 9

    大谷翔平、笑顔の裏に別の顔 日刊ゲンダイは花巻東時代からどう報じてきたか、紙面とともに振り返る

  5. 10

    プロスカウトも把握 高校球界で横行するサイン盗みの実情