「中谷宇吉郎 雪を作る話」中谷宇吉郎著

公開日: 更新日:

 物理学者で雪の研究の第一人者だった著者がつづった珠玉の随筆集。明治33年に石川県に生まれ、ヨーロッパ留学の後、北大理学部で雪の研究に魅せられた著者は、人工雪の製作や天然雪の結晶写真の撮影にのめり込んでいった。本書には、そんな彼ならではの随筆「自然の恵み」「雪の十勝」「雪を作る話」のほか、太平洋戦争中の昭和18~19年に有珠山で頻発した地震と地盤隆起について書いた「天地創造の話」、科学は自然に対する純真な驚異の念から出発すべきではないかという、科学教育に対する意見をつづった「簪を挿した蛇」など全13編が収録されている。

 科学的視点から日常の事象を観察したときに浮かび上がってくる興味深い事実を、丁寧に取り上げていく中谷の随筆は、美しい上に示唆に満ちている。添付の栞に書かれた福岡伸一氏の評で、彼のことを日本という国をはるかに超えて世界性を獲得した「元祖トランス・ジャパニーズ」だと評しているのも興味深い。(平凡社 1400円+税)




日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

最新のBOOKS記事

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    日産の“暴君”と対決した元広報マンはゴーン事件をどう見る

  2. 2

    劇的試合続くも外国人記者ソッポ…錦織圭はなぜ“不人気”か

  3. 3

    元カノ小川アナは結婚…櫻井翔“クソ甘えん坊”の険しい前途

  4. 4

    上沼恵美子が試される…フジテレビの“実験”は吉と出るか

  5. 5

    元スピードスケート五輪銅 山中宏美さんは銭湯でヨガ講師

  6. 6

    野茂英雄氏と借金トラブル 元1億円投手の佐野慈紀さんは今

  7. 7

    遠のく錦織GS制覇…稚拙なチームとマネジメントに疑問の声

  8. 8

    また怪統計か 2018年「貯蓄ゼロ世帯」大幅改善のカラクリ

  9. 9

    トランプに平和賞?推薦した安倍首相に問われる“見識”<上>

  10. 10

    一体何が…大坂なおみ“心の支柱”サーシャ氏と決別の衝撃

もっと見る