「ひとだま 隠密絵師事件帖」池寒魚著
安政7年、品川宿の長屋に住む鋳掛屋の利助がひとだまを見たと騒ぐ。ばくちに負けて、帰宅した長屋の便所で用を足していると周囲が昼間のように明るくなり、そのまま気を失ったというのだ。貧乏絵師で、食うために旅籠の用心棒も務める誠之進は、口入れ屋の藤兵衛から絵の師匠・河鍋狂斎にひとだまについて教えを請うて欲しいと頼まれる。
話を聞いた狂斎は弟子の鮫次を伴って品川を訪ねてくる。師を現場の長屋に案内した誠之進らの前で、真っ白に輝く球が上がり、周囲を明るく照らす。その直後、誠之進を狙って刺客が襲い掛かってきた。(表題作)
絵師、用心棒、そして隠密の顔も持つ誠之進が活躍する時代エンターテインメントシリーズ第2弾。
(集英社 630円+税)